「オンワードクローゼット」、不正検知サービス「ASUKA」導入の経緯 コストとスピード感が決め手
オンワードグループ公式ファッション通販サイトの「ONWARD CROSSET(オンワード・クローゼット)」は、グループ会社のオンワードデジタルラボが運営する。公式サイトのプラットフォームのほか、マーケティング戦略、「オンワードメンバーズ」という顧客基盤の運営を担っている。 「オンワード・クローゼット」は、オンワード樫山の「23区」「組曲」など人気ブランドのほか、グループ会社のアイランドやKOKOBUYなどのブランドを展開している。そのほか、グループ以外の約120ものファッションブランドを販売するなどマーチャントとしての事業も展開している。 店舗との連動も成果を上げている。オンライン上にある在庫を店頭に取り寄せて試着できるサービス「クリック&トライ」が年々拡大している。2024年上期末におけるクリック&トライ」の対象店舗数は、前年同期比47店舗増の407店舗で、導入率は63%となった。 導入店舗の売上高の伸びは、未導入店舗を18%上回った。予約点数は前年同期比18%増の13万1000点だった。 また、「クリック&トライ」を実装し、オンワード樫山の複数ブランドをそろえて展開する店舗「オンワード・クローゼットセレクト(OCS)」は全国147店舗に拡大した。 「店舗とECでシームレスに買い物ができる顧客体験が成果につながっている」(イノベーショングループ デジタルマーケティングDiv. 課長代理 勝目好貴氏)と話す。 <不正検知サービス「ASUKA」を導入> 「オンワード・クローゼット」は、EC事業の成長に伴い、2018年ごろから宝飾品やアクセサリー、バッグなどの高額品の不正注文が増えた時期があった。一時的に注文が急増したことから社内で調べたところ、不正注文であることが分かったという。 そのタイミングで決済代行会社から紹介された不正対策ツールを導入していた。しかし、高額な仕組みだったことや注文完了後にNG判定ができる仕組みだったため、注文完了のタイミングで不正注文を止めることができなかった。EC売り上げの増加とコロナ禍に伴って、不正件数の拡大や不正手口の多様化が顕著になってきたこともあり、不正ユーザーの制御が難しい状況が続いていた。 「不正が巧妙化しており、社員による目視のチェックに限界がある。社内コストの低減のためにも、コストバリューの高いツールを探していた」(イノベーショングループ カスタマーサクセスDiv. ECカスタマーサポートSec. 野沢真貴子課長)と話す。 セキュリティーイベントでアクルが提供するクレジットカードの不正利用検知・認証システム「ASUKA(アスカ)」を知った。数社の不正検知システムを比較した結果、「導入コストと2カ月という導入までのスピード感が決め手だった」(イノベーショングループ カスタマーサクセスDiv. 森田潤課長)と話し、2022年4月に導入した。 <チャージバックが1/10に減少> 「ASUKA(アスカ)」は、ユーザーが購入する際、カートで「あなたのカード情報ですか」といったポップアップで質問が表示される。 導入後は、チャージバックがピーク時の10分の1に減少したほか、これまで目視で対応した作業が減少。本来のコールセンター業務に専念できるようになった。「定期的なチューニングを提案してもらえることに満足している」(森田課長)と話している。 【不正検知サービス「ASUKA」サービス概要】 物販ECをはじめ、旅行、サービスなど2万社以上のECカード加盟店に導入されているクレジットカードの不正検知・認証ツール。日本で開発され、日本の住所にも対応可能な不正対策ソリューションだ。EMV3Dセキュアを併用した不正利用対策をはじめ、クレジットマスターアタックと呼ばれる大量アタックの対策として活用が期待できる。申し込みから導入まで最短1~2週間での利用を実現。決済数に応じた従量課金性ではなく、毎月プランに応じた固定額が発生する固定価格制を採用している。
日本ネット経済新聞