【水島】夏限定で上陸できる無人島「店をやれば儲かるのはわかるけど…」地元の人々が景観美を守り抜く理由は?
#304 Mizu-Shima水島(福井県)
今年3月、北陸新幹線が延伸され、東京からは最速で3時間8分、俄然行きやすくなった福井県・敦賀。 【画像】港の脇にある小さな色ヶ浜。松尾芭蕉も訪れました。 今回ご紹介する水島は、敦賀の沖に浮かぶ無人島です。ごくごく浅瀬に2つの小さな島と、それらを結ぶ砂州が浮かんでいます。モルディブのどこかの環礁にぽつんと浮かんでいそうな風景です。 そう思わせるのは、砂の白さと海の色のみならず、きっと人工物が目に入らないからでしょう。 水島には浜茶屋(海の家)などはありません。ビーチベッドや日陰を作るパラソルも置いていません。人工物といえば、木々の間のトイレだけ(それもプリミティブなスタイル!? )。 水島を管理している色浜地区の区長の古川さんに話をうかがいました。 「地元(色浜と浦底)の人々にとって、水島は宝物。訪れる人々にも、島そのものの美しい姿を見てもらいたいから。店をやれば儲かるのはわかるけれど、それよりも景観を優先させたわけです。」 おかげで訪れた人は、とっておきの無人島気分を味わえるのです。
瀬渡しが運航するのは7~8月だけ
細長い島と砂州は全長400メートルくらい。陸側に白砂ビーチが広がり、リーフフィッシュが泳いでいます。アゼモ(アマモ)にアオリイカが産卵することも。反対側の沖(日本海)は岩が多く、泳ぐのにはあまり適していません。 水島へ行くには、敦賀から車で約30分の色浜地区を目指し、そこから瀬渡し(渡し舟)で浦底を経由して約10分。ただし、いつ行っても上陸できるわけではありません。瀬渡しが運航するのは7~8月だけ。夏限定のお楽しみです。 夏のシーズンに旅行者をおもてなしするために、地元の人々は6月から準備を始めます。実は、水島は海流の関係から砂が流れてしまうため、重機を使ってある程度、整える必要があります。また、冬の間に外国から漂着した網やロープなどの漁具やゴミを取り除かなくてはなりません。 水島の清掃には地元の人々のみならず、敦賀の中学生100名ほどや発電所の関係者、市役所のOBも手伝いにやってくるそう。こうして整えられた水島、今年は7月13日~9月1日まで訪れることができます。