平井一夫「自分に合う会社はどうやって探すのか」 平井氏がCBS・ソニーへの入社を決めた理由
ただ、一番の決め手となったのは、やはり、その自由そうな社風でした。先に挙げた3つの基準でいうと、「バリュー」の点で自分の優先順位と合致したことが大きかったのです。 ■「ミッション」「ビジョン」「バリュー」に着目する 企業の「ミッション」「ビジョン」「バリュー」とあなたの優先順位を照らし合わせて、働く会社を選ぶとなると、当然ながら、この3つが企業側から示されている必要があります。 人を新たに採用しようとしているのだから示されていて当然かと思いきや、実態はそうでもありません。
「ミッション」「ビジョン」「バリュー」が不明瞭だったり、示されていてもスローガンのように掲げられているだけで有名無実化していたり……。残念ながら、そういう企業も多いようなのです。 私は企業のマネジメント層向けの講演を依頼されることも多いのですが、「上層部では共有されている理念や企業文化が、現場の社員にまで浸透していない」といった悩みをよく耳にします。 社員一人ひとりにまで浸透していなければ、それは上層部の自己満足にすぎず、「我が社のミッション、ビジョン、バリュー」として掲げることはできないでしょう。厳しい見方かもしれませんが、そう言わざるを得ません。
■現場で働いている人たちから直に話を聞く 今は転職が当たり前になっているとはいえ、やはり「最初にどんな企業で働くか」は、その後の仕事人生にも大きなインパクトを与えるくらい重要です。よくも悪くも、最初の会社で社会人としての基礎が築かれるからです。 そうであるからには、選択の基準となる「ミッション」「ビジョン」「バリュー」は何か。それらは有名無実化したスローガンではなく、実態を伴うものとして企業に根付いているのかどうかを、はっきりさせておきたいところです。
その格好の機会は企業訪問でしょう。基本的に人事部や上層部が行う採用面接とは違い、企業訪問は、現場で働いている人たちから直に話を聞けるチャンスです。 「働きやすいか」「上司とはどういう関係か」「残業はあるのか」など、素朴に気になることを聞いてもいいのですが、せっかくの機会です。「企業案内を読むと、こういうスローガンが掲げられていますが、どういうことだと思われますか」「ここで働くことに、どんな意義を感じていらっしゃいますか」など、もっと根本的なこともどんどん聞くといいでしょう。