Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

社説 [ホテル雇い止め] 助成金使い労働者守れ

配信

沖縄タイムス

 新型コロナウイルスの影響による雇用情勢の深刻化を示すものだ。  本島北部のリゾートホテルで客室清掃などを担う74人の従業員が、雇用主の業務請負会社(東京)から5月末限りの雇い止めを打診された。4、5月の休業手当は支払われず、会社側に説明を求める嘆願書が出されている。  同社は本紙取材に、シフトが確定していない場合には休業手当はないと説明した。しかし厚生労働省は、継続した勤務実態があった場合は、シフトがなくても休業手当支払いの判断材料になるとしている。  雇い主は国の雇用調整助成金や企業への助成金制度を積極的に活用し、雇用を守ることを優先すべきだ。雇い止めを回避する手だては十分に講じたのか、従業員への説明は尽くされたのか。  ほぼ常勤でホテルに勤務していた女性は、仕事と収入がなくなった不安を抱える。ほかでも同じような境遇にある労働者は少なくないはずだ。  沖縄労働局によると、県内でコロナの影響による解雇・雇い止めやその見込みは408人(5月28日時点)に上る。今後も増加が予想される。  多くの企業が事業継続の不安を抱え、先行きが見通せずに倒産の危機に直面する厳しい状況が続く。だが、コロナを理由にした一方的な解雇や雇い止めは許されない。  労働者の暮らしを脅かす雇い止めは、企業の社会的評価を落とすことにもつながり、事業を継続するための基盤も揺らぎかねない。 ■ ■  政府は雇用や企業支援強化のため、本年度の第2次補正予算案を閣議決定している。  雇用調整助成金の増額や、1人も解雇しなかった中小企業への助成率の引き上げのほか、休業手当を受け取ることができない中小企業の従業員には、直接給付が受けられる特例も創設した。  ただ、雇用調整助成金については申請が煩雑で、支給までに時間がかかるといった使い勝手の悪さが指摘されている。  手続きを一部簡略化する対策も講じられたが、助成金を速やかに受けるための分かりやすい仕組みに再構築することも必要だろう。  政府は12日の予算案成立を目指すが、迅速かつ実効性ある雇用対策にするためにも、企業に制度を十分に浸透させ、積極的な活用を促すことが求められる。  労働者の側も企業の不当な扱いを見過ごさず、相談窓口を積極的に活用してほしい。 ■ ■  従業員の雇用を守る新たな動きもある。  旅行予約サイトを運営するパム(那覇市)は、求人企業と提携して「ワークシェアリング」を始めた。従業員はパムと出向先の企業と両方で雇用契約を結び、1年間、契約企業で働く試みだ。  企業間の連携は、新たな業務提携や事業展開の可能性も期待できる。雇用確保の知恵を絞りたい。  「新しい生活様式」が求められる中、働き方の模索も続く。失業者や雇い止めを出さないための雇用のマッチングを促す県の支援策も必要だ。

【関連記事】