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広まり見せる「一時的な空きスペース」活用、工夫次第で都市の宝に

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The Guardian

【記者:Laura Latham】  病院が活気や創造性にあふれた場所であることは、めったにない。だが、フランスのパリ14区にある旧サン・バンサン・ド・ポール(Saint-Vincent-de-Paul)病院は、パリ左岸で最も「熱い」場所の一つだ。以前、救急車や一般車両の駐車場だった場所は今、家庭菜園や球技用コート、キャンプ場などとして活用されている。多い日には1000人の利用者が市場を見て回ったり、カフェで食事をしたり、無料のライブパフォーマンスを楽しんだりしている。  2011年に閉鎖した病院の敷地は「レ・グラン・ボワザン (%%Les Grands Voisins%%、偉大な隣人たち)」と名付けられ、住民や観光客を引き付けている。かつての処置室や病棟は社会的、商業的事業の拠点となり、ホームレスのための宿泊施設、アートスタジオ、期間限定ショップ、スタートアップ企業などが入居している。  ホームレスのための宿泊施設を運営する慈善団体「オロール(Aurore)」のウィリアム・デュフルク(William Dufourcq)代表は、「ここは社会地区や就業機会を備えた、村のような包括的な場所。さまざまな人が交流することができる」と話し、「その成功に驚いている」と語った。  病院跡地は住宅や店舗、商業施設、公共施設、緑地などが配置された、環境に優しいエリアに再開発される予定となっている。これほど大きなプロジェクトとなると、計画や建物の撤去、建設工事などに多くの時間を要する。そのため、政府の開発機関は、3.4ヘクタールの土地を何年も遊ばせておくのではなく、地元団体に無料で貸し出すことにした。貸借期間は今年末までの予定だったが、2020年半ばまで延長された。  開発業者や公共機関は、「一時的な空きスペース」を地元住民のグループや芸術団体、スタートアップ企業、慈善団体などに有料または無料で貸し出すことがある。「レ・グラン・ボワザン」も、そうした活用例の一つだ。都心にあるこうした場所の活用を求める声は、他の都市でも高まっている。英シンクタンク「センター・フォー・ロンドン(Centre for London)」が10月に公表した報告書は、都市部の空地に対する需要と前向きな活用の可能性について触れ、世界の都市の風景を変える可能性を強調した。  報告書の作成に関わった研究員のニコラス・ボセッティ(Nicolas Bosetti)氏は、「(報告書作成の)目的は、土地不足に苦しむ都市に、『一時的活用』という価値ある選択肢を示すことだった」と話す。ボセッティ氏によると、パリでは、地下鉄の駅からナイトクラブに至るまで、使用されていない建物の短期間活用を模索する動きが、ロンドンより活発だという。目的は、慈善活動や文化的イベントなどさまざまだ。  パリでは他にも、「一時的な空きスペース」の活用が行われている。警察官の宿舎だったエクセルマン(Exelmans)大通りの建物は、オロールが2年間有料で借り受け、ホームレスや難民のための簡易宿泊施設として再利用している。また、パルモンティエ(Parmentier)通りにある旧変電所は、2008年からアート集団「ラ・ジェネラル(La Generale)」によって運営されている。

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