一度も連絡取れず、男性死亡 保健所から携帯つながらず 神奈川
新型コロナウイルス感染症を巡り、神奈川県は16日、陽性であることが分かった大和市内の70代男性に保健所が連絡を取れないまま、5日後に自宅で死亡しているのが見つかったと発表した。死因や死亡時期は不明。陽性判明の3日後から男性の携帯電話に連絡を試みていたがつながらず、判明5日後に自宅を訪問して分かった。県の担当者は「感染者急増で保健所の手が足りていない。精いっぱいの対応だった」としている。 県によると、男性は1人暮らしで、今月9日に転倒して負傷し、救急搬送された際に発熱していたため検査を受けた。10日に陽性と分かり、病院は本人に電話で結果を通知。男性は軽症で、自宅で療養するか宿泊療養施設に入るかを話し合うため、保健所からの連絡を待っている状態だった。 11日に病院から発生届が出されたが、厚木保健福祉事務所大和センターは感染者急増の影響で12日に連絡できず、13~15日にかけて男性の携帯電話に計9回架電したがつながらなかった。15日に自宅を訪問、死亡していることが分かった。 同センター管内では、今年に入り1日の平均感染者数がそれまでの3倍以上に急増。県の担当者は「リスクの高い患者への対応をしていることもあり、すぐには自宅を訪問できなかった」と話している。 県が所管する保健所管内では、今回の男性のように聞き取り調査ができていない軽症や無症状の患者が375人程度いるという。 感染者急増による保健所の業務ひっ迫を受け、県は感染状況や感染経路をたどる「積極的疫学調査」の対象者を絞るなどしており、今後は40歳以上をリスクの高い患者として優先して調査することで、再発防止を目指すとしている。
神奈川新聞社