定期購読のみで実売30万部超え シニア女性誌「ハルメク」急成長の秘けつ
「ハルメク」という雑誌をご存知だろうか。同誌は1996年に「いきいき」として創刊して以降、50歳以上の女性に向けて生き方・暮らし方を発信している。販売部数は現在約34万部。書店には置かず、定期購読のみという販売スタイルでありながら、女性誌部門・シニア女性誌部門の販売部数トップを誇り(2019年下半期、一般社団法人日本ABC協会調べ)、現在も部数を順調に伸ばしている。さらには雑誌のほかにも、通販事業やイベント事業を運営。雑誌と通販、イベントの3事業を主軸に、シニアビジネスを推進中だ。20年8月には「機動的かつ柔軟な意思決定を行える体制を構築する」として親会社のノーリツ鋼機からMBO(マネジメント・バイ・アウト=経営陣による経営権の買い取り)を実施。更なる成長の加速を目指している。同社のビジネスの“入り口”と位置づけられている雑誌事業を17年から統括して以降、販売部数を倍以上に導いた山岡朝子「ハルメク」編集長に、同誌成長の秘けつと今後を聞いた。 【画像】定期購読のみで実売30万部超え シニア女性誌「ハルメク」急成長の秘けつ
WWD:山岡編集長の就任以降、雑誌の販売部数は右肩上がりで伸びている。コンテンツ作りにおいて、変えたことはあったのか?
山岡朝子「ハルメク」編集長(以下、山岡):大きく分けると、雑誌のコンテンツの方向性と、イベントや通販といった他事業との連携方法の2つを変えてきました。方向性の点では、これまで“シニア雑誌”という位置づけだった「ハルメク」を、“女性誌”と定義し直し、コンテンツの幅を広げています。具体的には、年金や健康といったシニア雑誌的なコンテンツも作りつつ、ファッションや美容、片付け、料理などの特集を読者の方のニーズをもとに、50代以上の方に向けた切り口で作る、といった形ですね。他事業との連携の面では、私が入社した時点ではあまり連携していなかったのですが、もともと、通販やイベントは読者の要望を受けて立ち上がっているんです。規模が大きくなる中で各事業の連携が薄れてしまっていましたが、最初は連携すべくして生まれているはずで、それここそが自社の強みだとと考え直し、連携を強めていきました。