なぜスター選手は「巨人」を選ばなくなったのか…大山悠輔、石川柊太にフラれた「球界の盟主」にOBは「いまの巨人は“候補チームのひとつ”でしかない」と指摘
「候補チームの1つ」に変化
だが時代は変わった。プロ野球の各球団は地元密着の経営にシフト。本拠地に住む視聴者が地上波ローカル局による試合中継を見ることも増えた。一方、巨人戦の地上波全国中継は日本テレビが年に数試合を放送するなど、その機会は著しく減少した。 「その結果、FA宣言した今のプロ野球選手にとって、巨人は『候補チームの1つ』でしかありません。他球団と比較されるようになったのです。あくまでも一般論ですが、パ・リーグのピッチャーはセ・リーグへの移籍にリスクを感じるのではないでしょうか。DH制ではないのでバッターボックスに立つ必要がありますし、対戦経験の少ないバッターと勝負しなければなりません。パ・リーグの他チームに移籍すれば、今までのノウハウをフル活用できます。また阪神は巨人に並ぶ人気球団ですが、移籍を躊躇する左の強打者は多いと思います。何しろ甲子園に吹く浜風は左バッター泣かせとして知られています」(同・広澤氏) さらにFA宣言するほどの選手になると「引退後に訪れる第2の人生」についての考え方が普通のプロ選手とは異なるという。 「昭和の巨人OBは中堅選手でも名前を知られていたので、第2の人生では就職などでも有利になったと思います。今の選手でもトレードで巨人に移籍すれば、引退後の人生にとってもチャンスであることを意味します。それこそ巨人のコーチに採用されれば指導者のキャリアとしては申し分ありません。一方、FAの移籍だと数年で数億円という大型契約になります。信頼できる金融機関に運用を依頼し、年に数パーセントの利率が保証されれば元金が多額ですから充分に生活ができます。監督やコーチ、球団スタッフといった第2の人生を考える必要はありません。既にスター選手であるFA組は、引退後の人生という観点でも巨人に入団する特別なメリットは感じないと思います」(同・広澤氏) デイリー新潮編集部
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