老親が捨てられない実家に眠る引き出物 処分に成功した子供たちの創意工夫
昭和レトロブームが追い風になったことで、売れるものもあったという。古い物に価値はないと思っていたBさんの母親だが、心境に変化が起きたようだ。
「古いデザインのバスタタオルや、レトロな色合いのペアグラスが売れました。母は嬉しかったようで、それ以来、花柄のお皿やグラス、ホーロー鍋といったものも出品したいと意気込んでいます。お金がからむと、ここまで前向きになるとは(笑)。片づけに積極的になってくれたのでうれしいです」(Bさん)
いったん子供が引き取ってから処分
親に捨ててもらうことはできないが、いったん子供が引き取って処分するというケースもある。広告代理店に勤務する30代男性・Cさんが語る。
「実家に帰った時、親に『少しは片づけなよ』と言うと、『捨てるのはもったいないから、あんたが持っていきなさい』と言われるパターンが多いです。同様の手口で、これまで実家から、親が引き出物でもらった皿、ティーカップ、ビアグラス、タオルなどを持ち帰ることになりました。
タオルのような実用的なものならまだいいんですが、正直、クリスタルの灰皿みたいなものは勘弁してほしかったですね。ビアグラスには、誰だかわからない名前が入っているし……。そうやっていったん引き取って、処分することがほとんどです。二度手間で面倒ですが、ちょっとずつ前には進んでいると思います」(Cさん)
今でこそ大仰な引き出物文化はなくなりつつあるが、シニアはたくさんもらっている世代。実家に眠る引き出物をどう処分するかは、多くの人にとって“見て見ぬふり”のできない問題となっているようだ。