製粉協会 改正基本法に適切対応 内麦生産者との連携強化 塚越英行会長が方針
製粉協会は8月22日に開かれた定時総会で新会長に塚越英行氏(昭和産業社長)を選任した。塚越会長は製粉産業の4つの課題を挙げ、「いかなる状況でも会員と一致協力して、安全安心で高品質な小麦粉を安定供給するという使命を果たす」と力強く述べた。塚越会長に協会が果たす役割について語ってもらった。 ◇ ◇ 製粉産業を取り巻く環境が大きく変化する中での会長就任には、大変身の引き締まる思いだ。1年間、会長として当面の課題に対応する。具体的な課題は4点。まず「食料安全保障の確保」。食料・農業・農村基本法が四半世紀ぶりに改正された。改正基本法では、食料安全保障の確保が基本理念として明確に位置付けられた。これを受けて年度内には新たな食料・農業・農村基本計画が策定される見通しだ。具体的な施策の実現に向けて様々な課題に対する取り組みの加速が予測されている。この動きに対して製粉業界としても適時適切に対応していきたい。 2点目は「国内産小麦の振興」。食料安全保障確保の観点から、新たな基本計画では国内産小麦の意欲的な生産努力目標が設定されると考えられる。これを受けて国内麦のさらなる生産拡大の取り組み推進が見込まれる。生産者サイドとの連携を強化することで需要の確保・拡大を図るとともに、需要に応じた生産、安全で高品質な小麦の安定供給の実現に取り組む。 3点目は輸入小麦の安定的な確保。近年、気候変動や地政学リスクが国際的な穀物の需給、相場、物流に大きな影響を及ぼしている。先行きの見通しが非常に難しい時代ではあるが、国内外の関係機関と協力し、安定的な制度運用のもと良質で必要とされる量の輸入小麦を安定的に確保する。 4点目は小麦粉の需要拡大。最近の国内需要は、新型コロナウイルスの影響で大幅に落ち込んだ局面からは脱却しており、回復の兆しがみえてきた。この機会を逃さず、消費者、実需者のニーズ、生活様式の変化などを的確に捉え、小麦粉の需要確保・拡大につなげたい。その他の課題についても会員が一致協力して乗り越え、いかなる状況下でも安全安心で高品質な小麦粉を安定供給するという製粉協会の使命を果たしたい。 基本法の改正は協会にとって大変意義深いもの。新制度に基づいて持続可能なサプライチェーンの構築を目指す。基本法改正を受けた新たな基本計画で政策がどのように具体化されるのか注視する必要がある。 今期の製粉協会にとっての最重点事項は、基本法改正という歴史的かつ大がかりな政策の整備が実施された直後なので、これに基づく新たな施策展開への対応など、先に申し上げた4つの課題に対して、全力で取り組む。