令和ロマン・髙比良くるま「俺の根本には“いじめられたらどうしよう”がある」。何度も読み返すマンガ『モテキ』から学んだ自意識との付き合い方【私の愛読書インタビュー】
自意識のこと
――『モテキ』の幸世は自意識が非常に強いキャラクターだと思います。くるまさんご自身は客観的な人だという印象があるのですが、そのギャップについてはいかがでしょうか?
くるま:よく客観的な人間だって言われるんですけど、真逆で自意識がすごく強いんですよ。自意識が巨大化しすぎて、物事を俯瞰で見るようになっちゃったんです。 ――というと? くるま:子どもの頃、人の目を気にして「いじめられないようにしなきゃ」と常に考えていて。自分がどう見られるのかを気にするのが当たり前になっちゃったんですよ。 ――いじめられた経験があってそうなった、ということでしょうか。 くるま:そういうわけではないんですが家庭環境が複雑だったり、肌がボロボロだったり、手汗がすごかったり。いじめられかねない要素をたくさん持っていると子どもながらに思ったんですよね。それで先回りして考えるようになりました。 ――いじめられないように考えて、具体的な行動を起こすこともあったのですか? くるま:例えば肌だったらスキンケアを頑張るとか、手汗をかかないための手術をするとか。だから、今の自分は「人からどう見られているか」という客観を積み重ねて出来ているんだけど、その根本にあるのは「いじめられたらどうしよう」っていう主観なんですよね。 ――じゃあ幸世のそういった姿には今も共感できる面がありますか? くるま:めちゃくちゃあります。俺の根っこには、やっぱり幸世がいるんですよ。主観的で勝手に自意識を増大させて悩んで。だけど武装してなんとか生きてるって感じです。 だからやっぱり、幸世から学んだことはたくさんあるし『モテキ』は僕の人生の縮図みたいな感じなんですよね。 取材、文=金沢俊吾 撮影=川口宗道
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