令和ロマン・髙比良くるま「俺の根本には“いじめられたらどうしよう”がある」。何度も読み返すマンガ『モテキ』から学んだ自意識との付き合い方【私の愛読書インタビュー】
お笑いコンビ・令和ロマンが、史上初のM-1グランプリ2年連続優勝に向けて準々決勝進出を決めた。昨年末の『M-1グランプリ2023』優勝以来、大きな注目を集めることになった髙比良くるまさんは、どのような本を読み、どんな人生を歩んできたのか。
さまざまなジャンルで活躍する著名人たちに、お気に入りの一冊をご紹介いただくダ・ヴィンチWebの連載「私の愛読書」。今回は、11月8日に『漫才過剰考察』(辰巳出版)を刊行した髙比良くるまさんが登場。高校3年生、男子校時代に出会ったという『モテキ』(久保ミツロウ/講談社)について話を聞いた。
マンガは脳の処理スピードとぴったり合う
――本日は愛読書をご紹介いただければと思います。あまり読書はされないとお聞きしましたが。 髙比良くるまさん(以下、くるま):活字はいろいろ想像しすぎちゃって、読むのにすごく時間がかかるんですよ。小説だと、読んでいるシーンを頭のなかで映像化しちゃったり。 ――時間がかかるのがストレスになって活字を読めない? くるま:そうですね。でも、頭を空っぽにして観られるような映像作品が好きかというと、想像の余地があまりなくてそれはそれで物足りないんです。僕、マンガは好きなんですけど、活字と映像のちょうど真ん中というか、自分の脳みその処理スピードとピッタリ合って一番気持ちいいんですよね。 ――今日お持ちいただいたのは、久保ミツロウさんの『モテキ』です。
くるま:人生で何度も読み返している作品です。初めて読んだのは高校3年生ぐらいなんですが、きっかけは「モテキ的音楽のススメ」っていうコンピレーションアルバムなんですよ。 ――『モテキ』内に登場する楽曲が収録されたアルバムですね。そのなかに好きなアーティストがいたのでしょうか? くるま:いえ、まったく知らなかったです。1曲目がフジファブリックの「夜明けのBEAT」なんですが、もうすごくかっこよくて。椎名林檎さんが作詞作曲したともさかりえさんの「カプチーノ」なんかも「こんな音楽があるんだ!」ってビックリしました。 ――なぜいきなり知らない作品のコンセプトアルバムを聴いたのか気になります。 くるま:僕、練馬区の核家族ブームみたいな街で育ったんで、お兄ちゃんとか年上からの影響がまったくなかったんです。だからなんとなくサブカルへの憧れみたいなものがあったんですよね。で、お金もなかったのでなるべくいっぺんに多くのアーティストを吸収したくて。 あと当時、なにかの懸賞で当たったiPodシャッフルを持っていて。知ってますか? iPodシャッフル。 ――ディスプレイがなくて、シャッフル再生しかできないやつですよね。 くるま:そう、普通のアルバム入れても曲順通りに聴けないんですよ。だから、いろんなアーティストが収録されたコンピレーションアルバムってちょうどよかったんですよ。
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