40代、50代の気持ちがラクになる「幸福学」講座/老後のために2,000万円貯まっていない私は、不幸になるの?
幸福感と切っては切れない、お金の問題。「幸福学においては、お金と幸せの関係について、さまざまな調査やエビデンスがあります」とは、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司先生。老後の資金の心配など、尽きない不安感から解放されるためにはどうすれば?幸福学の見地から、解決策を伺った。
「まぁいいか」の楽観性は幸せになるためのスパイス
――「年収が低い(給与がずっと上がらない)」「フリーランスなので将来が不安」「年齢的に自分の可能性にも不安がある」等々。人生100年時代と言われながらも、経済の衰退という社会背景もあって、年齢を重ねるごとにお金の心配が膨らむOurAge世代は少なくありません。そのようなお金の不安から解放されるには、幸福学ではどのようなアプローチがあるでしょうか? 南アジアにあるブータンは、世界一幸せな国として話題になりましたよね。ブータン国王は、経済よりも幸福を優先するという国家方針も表明しています。実際にブータンを訪れると、発展途上国なので国民は貧しいけれど、みんな幸せそうなんです。なぜかというと、仲間と助け合っているからなんですよね。一方の日本はというと、助け合いどころか孤立・孤独社会になっていて、老後の資金は一人で2,000万円は貯めておかないと、という大変なことになってしまっている。とにかくお金を貯めておかないと不安!という社会をつくってしまっているんですよね。 ――本当です! ということは、人とのつながりがもっと豊かになれば、お金の不安にとらわれることも減る、といえるのでしょうか? 現実問題として、本当にお金が足りない人は、働けるならもっと働いて収入を増やすべきです。また、働けない人のために社会保障の制度があります。でも、おそらく読者の方のお悩みの多くは、それなりにはなんとかやっていけるのに、つい不安になってしまう、ということかもしれません。 そういう人は、他者とのつながり同様に、「幸せの4因子」のひとつ、「なんとかなる!」因子、つまり楽観性を増やしていくことにも注目してほしいと思います。 ――確かに、まぁなんとかなるだろうと思えたら、いちばん強いですよね。「なんとかなる!」因子を増やすには、どうすればいいですか? 幸福学において、楽観性はとても重要なんです。この楽観性に関連しているのが、幸せの4因子の「あなたらしく!」因子なんですよ。言い換えると、他者と比較しない、というマインドのことです。