淡路島に本社機能移転のパソナ。南部代表に真意を聞いた
パソナグループは2024年5月末までに本社機能を東京から兵庫県の淡路島に移す。グループ企業を含め本社従業員1800人のうち、営業などを除く人事や財務、経営企画、グローバルなど約1200人が淡路島で働くことになる。自然災害時の事業継続計画(BCP)体制の構築や豊かな働き方の実現につなげる。先行して移住した人の現状を追った。(丸山美和) 定額住み放題が人気…「旅するように暮らす」は広がるか
470人が現地先行就労、自然の中で生活に余裕
パソナは島北部の淡路市内に二つのメーンオフィスを持ち、そこに財務やデジタル変革(DX)部門などのスタッフが在籍。島内全体でレストランや自然体験型アニメパーク「ニジゲンノモリ」など九つの施設を運営し、現在13社計約470人が働いている。 農業研修事業を運営・管理するパソナ農援隊(東京都千代田区)の神智実業務部長は、1年半前に東京を離れ、現在2歳の子どもとともに先行移住。夫の岡田智一パソナグループ経営企画部ゼネラルマネージャーも9月に移り住んだ。 夫婦共に自然の中で子育てできることに魅力を感じていたものの気になったのは子どもの教育だった。 住居であるマンション階下のオフィスの横では、パソナによる、バレエや音楽、英語教室などが順次開講され始め、「安心して通わせることができている」(神部長)。岡田ゼネラルマネージャーも「新型コロナウイルス感染拡大以降、リモートで仕事はできる」と移住を決断。「転居後は部屋も広くなった」と、生活にゆとりができた。
ITコンサルから12年にパソナに転職した奥田悠美さんは、18年に現在4歳と2歳の子どもを連れて島に移り住んだ。約3万平方メートルの農地を活用し、農業生産者支援などを担当する。他社に勤務する夫も「リモート勤務ができる」として19年に島に移住した。 劇場を併設したレストランで働く契約社員の田所亜沙可さんは、東京を拠点に活動していたプロのサックス奏者だ。音楽と仕事の“ダブルキャリア”を目指し、レストランで仕事を続けながら、時折東京に戻り楽曲制作もこなす。 田所さんは新型コロナの影響で演奏活動の中止を余儀なくされていた時にダブルキャリア募集を知り応募した。「一時は新型コロナで諦めかけたが、今もお客さんの前で演奏でき、違った角度の音楽活動ができている」という。