外信コラム 「韓国メディア体質の犠牲者」…外交復帰の元駐韓公使に「ファイティング!」 ソウルからヨボセヨ
日本外務省の最近の人事で、相馬弘尚・元駐韓公使が駐マーシャル諸島大使に発令されていた。相馬氏は韓国駐在時代の2021年夏、韓国メディアとの懇談で「不適切な発言があった」として帰国させられて以来、外交舞台からはずされ左遷状態だった。大使任命で〝救済〟された感じではあるが、キャリア外交官で数少ない〝コリアン・スクール〟の最後のポストとしてはいささか寂しい。 【写真】相馬弘尚・元駐韓公使 在韓時代の出来事は不本意なものだった。韓国テレビの政治担当記者(女性)との昼食の際、当時の文在寅(ムン・ジェイン)政権の対日外交が自己満足的だという意味から、自慰行為にあたる性的表現(英語)を使って批判したとして大問題になった。記者との非公式な場での非公式な発言だったのに、悪意の反日報道に利用されたのだ。大統領府まで日本非難に乗り出したため相馬氏は帰国処分となった。 韓国通で韓国人記者との接触も多く韓国慣れしていた彼としては「気さくな会話」で足をすくわれた形だった。韓国人記者によるいわば〝オフレコ会話〟の片言隻句の報道は明らかに背信行為である。相馬氏は日本非難なら何でもありの韓国メディア体質の犠牲者だったともいえる。外交舞台に復帰した今は韓国風に、はるか太平洋のかなたでの「ファイティング!」を祈りたい。(黒田勝弘)