【マジメ・メーカーの遊び心】フォルクスワーゲンTロックとTクロスはコンパクトSUVのスタンダードとなるのか?
新たなスタンダードとなるか?
text:Kouichi Kobuna(小鮒康一) editor:Taro Ueno(上野太朗) 【写真】フォルクスワーゲンTロック/Tクロス/ティグアン【画像で比較】 (87枚) 未だに衰えることを知らないクロスオーバーSUV人気は、超高級車メーカーやスーパーカー・メーカーからまでSUVモデルをリリースさせるほど無視できないマーケットに成長した。 この人気ジャンルに世界有数の実用車メーカーであるフォルクスワーゲンは、2019年にTクロス、2020年にTロックと立て続けにコンパクトクラスのSUVを投入したのだ。 今までのフォルクスワーゲンのイメージはどちらかというとマジメ一辺倒で、どちらというとポップなイメージのあるクロスオーバーSUVは苦手とするところかと思っていた。 しかし、この2車種については抑えるところは抑えつつ、適度な遊び心が散りばめられている、というのが第一印象で、果たして実際に乗ってみた印象はどうなのか興味深いところ。 ちなみに、両車の頭文字である「T」は過去のフォルクスワーゲンのクロスオーバーSUVモデルからの流れを汲んでおり、2002年登場のトゥアレグ(Touareg)、2008年登場のティグアン(Tiguan)ともに頭文字がTであったことから、「フォルクスワーゲンのSUV=T」ということになったようだ。 なお、余談ではあるが、北米市場向けに販売される大型SUVモデルはアトラスとなるが、中国市場などではテラモント(Teramont)という名前になるため、ギリギリセーフ? という感じだろうか。
クーペスタイルのTロック
今回、まず乗り込んだのは2Lのディーゼルターボエンジンを搭載したTロック。 リアゲートの傾斜が強いクーペスタイルを採用しているが、荷室容量は445Lを確保(リアシートを前にスライドさせた場合)しているというのはさすがフォルクスワーゲンといったところだろう。 またデザインをよく観察してみると、フェンダーのラインに合わせて付けられたプレスラインやボンネットの複雑なラインなど、かなりこだわって造形されていることがわかる。とはいえ、演出過多である感じもなく、分かる人だけが分かる、ツウなデザインとなっているのだ。 一方、室内は最新のインフォテイメント・システムや、デジタルメーター・クラスターが採用されて非常に先進的なイメージ。試乗したモデルは従来型だったが、現在は常時接続の新世代インフォテインメント・システムが標準装備となるので、先進性はより高まっている。 実際に走らせてみての印象は、他のフォルクスワーゲンのモデルと同じく非常に生真面目。低回転からトルクフルなディーゼルは数値以上のパワー感があり、堅牢なボディはクロスオーバーSUVスタイルも相まって寄り安心感が高い。 ただ、今回の試乗グレードであるTDIスポーツは18インチホイールが標準ということで、やや突き上げ感のある乗り心地が気になる人もいるかもしれない。 また、個体差かもしれないが、ブレーキの初期制動が強めで、慣れないうちはカックンブレーキとなってしまった点もお知らせしておきたい。