『わたしの宝物』繋がってはいけない点と点が結びつく 美羽の無責任さと冬月の脇の甘さ
救いのない展開が続く。どう転がってもハッピーエンドがなかなか見えてこない『わたしの宝物』(フジテレビ系)第7話。 【写真】『わたしの宝物』第7話場面カット(ネタバレあり) そもそも托卵の選択をしてまで生んだ我が子を、どうして美羽(松本若菜)は宏樹(田中圭)に言われるがまま家に置いて一人出てきてしまったのだろうか、という疑問がまず頭をもたげる。宏樹がまさかDNA検査をして親子関係を調べているなんて予想外で面食らったのかもしれないが、であればなおのこと、今度こそ娘の栞を連れて家を出ることもできたはずだ。栞が生まれて元の優しい人格を取り戻した宏樹から宝物を取り上げるわけにはいかないと思ったのかもしれない。しかし、宏樹が真実を知ってしまった今、それを受け入れてでも家族という形を継続するか否かのジャッジでしかない。宏樹はそれを受け入れることができないが、栞のことは手元に置いていってほしいと頼む。 托卵という大胆な選択肢をとった割には、栞のことも含め「宏樹の答えに従う」と言い出す美羽は、いくら弱っているとしても無責任に聞こえる。 美羽の母親がもう長くないと知り、病室に栞を連れて突然登場する宏樹は、病院と交渉して外出許可を取り付け、栞のお宮参りに義母を連れ出した彼の姿を思い出させる。そして、美羽が看病疲れをしないように労わる優しさを見せ、そのおかげで美羽は母親を無事看取ることができた。美羽を大切に想う相手を自分も大切にできるところも持ち合わせつつも、宏樹自身も漏らしていた通り、美羽を罰したいという気持ちを併せ持つ。宏樹は、「栞の父親は誰?」と聞いた際に美羽が相手の名前を明かさなかったことを、相手のことを庇ったと捉えたようだが、そこで名前を言ったところでどうなっていたというのだろうか。
宏樹(田中圭)からついに「離婚」の2文字が切り出される
そして、まさか自分が栞の父親だとはつゆ知らずの冬月(深澤辰哉)は、神崎夫婦とは全く異なる次元で悩んでいる上、自分の気持ちにけじめをつけるために手紙を書いて、それをあろうことか真琴(恒松祐里)に託ける。 もちろん真実を隠されている冬月が本当の美羽の悩みに行き着けないのは本人に非がないとはいえ、「どんな理由があったとしても俺は夏野のことを愛してはいけなかった、本当にごめん」「いつまでも心の中で夏野は大切な友人です」という文面を美羽はどんな思いで読んだのだろうか。 さらには水木(さとうほなみ)経由で出会った融資してくれるかもしれない会社の担当者である宏樹の妻が美羽であることを知っていながら、水木に美羽に辿り着きそうな情報を与えてしまうのも冬月の脇の甘さだ。 宏樹からついに「離婚」の2文字が切り出された頃、宏樹も水木もそれぞれに美羽と冬月の繋がりに気が付き始める。繋がってはいけない点と点が結びついてしまった時、ついに托卵の事実が真琴のみならず他の関係者にも知られるところとなるだけでなく、その事実を知った冬月は何を想い、何を守ろうとするのだろうか。
佳香(かこ)