イライラ、疲れ、冷え、頻尿、むくみ、めまい…。更年期の不調は体質によりさまざま。タイプ別に食物や漢方で対応を
更年期にさしかかると、なんとなく体がだるい、頭が重い、イライラしやすい、といった症状を感じることが増えてくるもの。こうした更年期特有の不調には漢方が有効だとか。自分の症状や体質に合った漢方の取り入れ方を伝授します(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》) * * * * * * * ◆汗をかきやすい、イライラ、 疲れやすいと感じたら…… 首から上に汗をかく、イライラする、疲れやすいなど、「もしかして、更年期症状かしら?」と思ったらまずは試してみてほしいと伊藤先生が話すのが、血のめぐりを促す漢方薬です。 「どれも典型的な更年期症状です。虚証の人の場合は、女性用の三大漢方薬の一つである加味逍遙散を、実証の人なら女神散が基本となります。どちらも体を温め、イライラや不安感を和らげる働きがあります」(伊藤先生。以下同) 〈オススメの漢方〉加味逍遙散(虚証)女神散(実証)
(お血) 下腹部の不調があり手足が冷える 下腹部の痛みや膨満感、月経異常といった不調は、骨盤内に血が滞ることで起こる「お血」(おは病垂に於)の症状が強く出ていると伊藤先生。 「肩こりがある人や、赤ら顔、手足が冷える人もこのタイプと考えられます。いつも同じところが痛み、夜に症状が強くなりやすいのも特徴です。ネギやニラ、パセリといった血のめぐりを促す食材も併せて摂りましょう」 〈オススメの漢方〉 当帰 芍薬散(虚証) 桂枝茯苓丸(実証)
(気逆)ホットフラッシュと寒気が行ったり来たり 「カーッと顔が熱くなったかと思うと、ゾクゾクと寒気がしたりするのが気逆の典型的な症状。赤ら顔で肥満気味の実証に多いタイプです。女性ホルモンと似た働きをする大豆製品を摂りましょう」 〈オススメの漢方〉黄連解毒湯(実証) (水毒)頭痛やめまいがありむくみやすい 「頭痛やめまい、むくみがあり、体が重く感じます。冷え症や貧血傾向の人など、虚証によく見られる症状です。小豆やしじみといった利尿作用のある食材を摂って」 〈オススメの漢方〉苓桂朮甘湯(虚証) 五苓散(中間証)
(腎虚)閉経後の不調には水分代謝を促す漢方薬を おしっこの回数が増えた、白髪やシワが増えた、目のかすみや耳鳴りがする、足腰がだるいなどの症状は、腎虚によるもの。漢方薬とともに食生活の改善も心がけて、と伊藤先生はアドバイスします。 「漢方薬にも使われる山芋をはじめ、オクラやなめこといったネバネバ食品や、腎の働きを補うクルミ、うなぎ、黒ゴマなどを日々の食事に積極的に取り入れてみましょう」 〈オススメの漢方〉八味丸(八味地黄丸)(虚証) 牛車腎気丸(虚証)
伊藤隆