“最強助っ人”元阪神のランディ・バースは今度こそ14日発表の野球殿堂入りを果たせるのか?
高津氏が選ばれると、現役監督の殿堂入りとなるが、これは、そう珍しくはなく、近年でもロッテ監督時代の伊東勤・現中日ヘッドコーチ、ソフトバンクの工藤公康監督、阪神監督時代の金本知憲氏が、殿堂入り監督となり指揮を執っている。だが、高津氏は、韓国、台湾、そして2011年には独立リーグの新潟アルビレックスBCでプレーした経験があり、もし殿堂入りを果たせば、独立リーグ経験者の初の殿堂入りとなる。すでに独立リーグからドラフト指名されレギュラーに定着する選手や、NPBを戦力外となった選手が、逆に独立リーグでプレーするケースが当たり前になってきているが、高津氏が選出されれば、野球界の時代の流れを象徴するような殿堂入りとなるのかもしれない。 そしてエキスパート部門での注目はやはりバース氏の動向だろう。 バース氏は、2004年にプレーヤー表彰で202票を得たが、当選ラインに届かず一度資格を失い、2013年からエキスパート表彰の候補者として復活。ここまで2013年は10票、2014年は36票、2015年は43票、2016年は40票、2017年は40票、2018年は57票、2019年は84票と着実に票を伸ばしてきた。2018年と2019年はいずれも3位だ。 阪神でのプレーは6年。1985年、1986年と2年連続で3冠王を獲得して1986年の打率.389は、シーズン日本最高打率である。あのイチローでさえ最高打率は.387だった。 阪神が日本一となった1985年の巨人戦で槙原寛己から放ったバース、掛布雅之、岡田彰布の甲子園バックスクリーン3連発は、伝説の名シーンである。王貞治氏の記録に並ぶ7試合連続本塁打を放ち、阪神ファンの間では「神様、仏様、バース様」と呼ばれ人気を博した。 間違いなく球史に刻まれる“最強助っ人“の一人だろう。 ただ通算記録では743安打、202本塁打、486打点で、他の殿堂入り者に比べて見劣りする。しかも、バース氏には、引退後の指導者としての功績がなく、阪神退団時のいざこざや、暴露本の出版などの”お騒がせ”の過去があり、投票権を持つ元巨人で殿堂入りしている広岡達朗氏が、「バースに果たして殿堂入りの資格があるのだろうか」と、異論を唱えるなど、現役時代の品格に対して疑問符をつける声がある。 また2008年からプレーヤー表彰とエキスパート表彰に分かれたが、エキスパート表彰は、4度、該当者がないなど狭き門であり、2017年には、星野仙一氏と平松政次氏が、ダブル当選した例はあるが、複数当選の可能性は低く、昨年度次点だった田淵氏との一騎討ちとなるとバース氏に分が悪そうではある。