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映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』ウディ・アレン監督インタビュー

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映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』ウディ・アレン監督インタビュー

ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメスという新世代を牽引する3名を迎え、最新作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』を生み出した、現在84歳の御大ウディ・アレン。ニューヨークという場所が持つ運命のいたずらに翻弄される男女の恋の行方を描く、軽妙なロマンティック・コメディの誕生秘話と生涯現役で居続けることができる秘訣を聞いた。 ──本作はウディ・アレン監督にとっての雨のニューヨークへのラブレターのような作品ですが、雨のニューヨークの魅力について聞かせてください。 ニューヨークは世界でも数少ない偉大な都市のひとつだよね。とりわけ、マンハッタンは、いつだってエキサイティングで、エネルギーに溢れているから好きなんだ。長い時間を紡ぐなかで淘汰されるものもあったかもしれない。それでも歴史を刻む素晴らしい場所もある。さらに、絶えず生まれる新しい文化もある。その融合が素晴らしい。伝統と革新が同居する空間は僕が生まれた頃から変わらないな。 ロンドンやパリにも言えることだけど、特にニューヨークは雨が降ると、より美しくよりロマンチックになると僕はいつも思っていたんだよね。それに、天気の良い日って退屈なんだよ。すべてが太陽の光に当たって輝いていて、いつだって同じように見えてしまう。何もかもとにかく輝いてるだけ。だけど、雨の日というのは、それぞれ違いがある。暗い日もあれば、明るいこともある。また激しい雨も降れば、優しい雨も降る。かと思えば、霧のような雨もある。ニューヨークというのは、そもそも可能性に満ちているし、楽しい。さらに雨が降るとアパートも歩道もすごく美しく見えるんだ。だから、僕は雨が降っているニューヨークをいつも見せたいと思っていたんだ。今回とうとうその機会を得たというわけ。だからすごく嬉しいよ。この映画で雨は、ロマンスや愛を象徴しているんだよね。 ──長年眠っていた脚本を実現させたきっかけはあったんですか? 元々この脚本があって、映画にしたかったんだけど実現できなかったのは、雨の中でどうやって撮影するかの問題を解決できないでいたからなんだよね。すごくお金がかかるから。予算と折り合いを付けながら、タイミングを見ていたんだ。例えば、海外の人が出資するときは、みんな自分達の都市に来て欲しいと言うしね。だからこれまでもバルセロナとか、ローマ、パリなどがロケーションになってきた。そういう理由で雨のニューヨークで撮影するのは簡単ではなかったね。この映画はいつも雨が降っていなくてはいけなかったわけだし。数作前から仕事をし始めたヴィットリオ・ストラーロという、素晴らしいカメラマンがいるんだけど、彼がこの作品でも参加してくれるというから、じゃあやろうということになったんだよ。 ──若手の人気役者がたくさん出ていますが、その出会いが理由ではなかったんですね。 そうだね。より物理的な理由によるものだった。俳優というのはいつだって見つけられるからね。才能がある俳優は常にすごくたくさんいる。才能が尽きるってことない。問題は、良い脚本があまりないことのほうだと思うよ。 ──本作で、映画の出来栄えに納得がいかず完成させたくないと駄々をこねる映画監督ローランド・ポラードというキャラクターが登場します。監督も彼のように撮影後に後悔したり、スランプに陥いることはありますか? あるよ(笑)!いつでも撮影後に後悔する。つくり始めるときっていうのは毎回「史上最高の映画を作るんだ!」と意気込むものなんだ。でも、編集の段階でいつも、「思い描いていた以上の作品になってない…」と思うことがよくある。それで失望するんだよ。「僕はこれでもう仕事を失うかもしれない」ってね。 ──現在84歳で、本作で50作目を監督しながら、プライベートではジャズライブの出演も続けています。生活で大事にしていること、健康の秘訣はありますか? 僕は毎日のルーティーンワークが好きなんだよね。朝起きて、仕事をして、エキササイズをして、楽器の練習をする。最近はできなくなったけど、妻と散歩して、そして夜は1日の疲れを癒すために友達と外でディナーを楽しむ。そういう同じことをコツコツやり続けるのが健康の秘訣だと思うよ。 ──本作は若者から大人までアイデンティティに悩む者たちの物語でもありますが、20代、30代当時の自分に何かアドバイスをするとしたら、贈りたい言葉はありますか? すごくシンプルな答えだけど、「コツコツと仕事し続けろ」かな。「よそ見はするな」とね。他人の意見には耳を傾けず、自分の作品がどのような評価をされているのかとか、僕について人が書いたことは読まないで、とにかく仕事をし続けるんだ。できる限りの最高の仕事をし続けるように頑張れば、幸運だったら、良い作品ができるかもしれない。そして、それを観た人たちにとって意味のある作品となるかもしれない。そうやって、すべてはしかるべき場所に収まるものだと思う。運が悪ければ、己に才能がないことはそのうちわかる。そしたら仕事を変えればいい。そう自分に言うかな。「賞をもらいたいとか、良い批評を書かれたいとか、お金をたくさん儲けたいとかを目標に映画を作らないように」とね。そういうつまらないことが妨げになるし、しかも、そこには何の意味もないんだ。例えば、僕が最初に書いた作品は、『What’s Up, Tiger Lily?(どうしたんだいタイガーリリー?)』(65年)だったわけだけど、あれは本当に恥ずかしいと思ったし、最悪だと思った。でも成功したんだよ。だけど、それが興行成績として成功しなくても、良い批評を受けなかったとしても、良い作品をつくったと思えたときのほうが喜びを得るものだからね。 Woody Allen ウディ・アレン 1935年、アメリカ、ニューヨーク州出身。1966年『What’s Up, Tiger Lily?』で監督デビュー。『アニー・ホール』(77)でアカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞の4部門を受賞。今なお多くの映画ファンに愛される名作である。ほぼ年に1本のペースで作品を撮り続け、『ミッドナイト・イン・パリ』(11)は世界中で大ヒットを記録。アカデミー賞4部門の候補となり、脚本賞を受賞。『ブルージャスミン』(13)では主演女優ケイト・ブランシェットにオスカー像をもたらし、自らも16回目のアカデミー賞脚本賞ノミネート(うち3度受賞)を果たしている。同年ゴールデン・グローブ賞では、長年にわたり映画界に多大な功績を残した人物に贈られるセシル・B・デミル賞を受賞した。近作に『マジック・イン・ムーンライト』(14)、『カフェ・ソサエティ』(16)、『女と男の観覧車』(17)など。次回作『Rifkin’s Festival』(原題・20)はスペインでの撮影を終え、公開を控えている。

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