厚生年金の一元化。会社員と公務員の年金の差はどれくらい?
平成27年10月1日に「被用者年金一元化法」が施行され、「厚生年金」と「共済年金」が「厚生年金」に統一されました。 今回は、それにより何が変わったのか、年金給付額に差は無いのかについて解説します。
公的年金制度の変更点
公的年金制度の変更点は以下のとおりです。 (1)公務員なども厚生年金に加入し、2階部分の年金は厚生年金に統一 (2)共済年金の3階部分(職域部分)が廃止(「年金払い退職給付」の創設) (3)保険料率は厚生年金の保険料率に統一 公的年金制度は1階部分と2階部分に分かれているという認識が一般的です。1階部分は国民年金(基礎年金)、2階部分は厚生年金もしくは共済年金(被用者年金)です。これに加え、公務員は3階部分があるという認識ではないでしょうか。 共済年金はもともと「報酬比例部分」と「職域部分」がありました。報酬比例部分が2階部分に、職域部分が3階部分に該当します。被用者年金一元化法の施行によって、2階部分の報酬比例部分が「厚生年金」に変わり、3階部分の職域部分が廃止されました。 会社員の場合、3階部分は「企業年金」となります。公務員の場合、3階部分は先述の職域部分でしたが、これが廃止になったため、新たに「年金払い退職給付」が設置され、これが3階部分となりました。 保険料率は、厚生年金と共済年金とでは異なっていました。被用者年金一元化法の施行当時(平成27年10月時点)は厚生年金が17.828%、共済年金は17.278%でした。その後、段階的に保険料率が引き上げられ、厚生年金は平成29年に、公務員共済は平成30年に、私学共済(私学教職員が加入)は令和9年に18.3%となり、全ての保険料率が統一されます。
年金給付の変更点
公的年金制度の2階部分が厚生年金に統一されたことにより、公務員や私学教職員も老齢厚生年金を受給することになります。 既に述べましたが、公的年金制度は1階部分、2階部分、3階部分に分けて考えることができます。会社員の場合、年金給付は老齢基礎年金(1階部分)と老齢厚生年金(2階部分)となります。公務員の場合、年金給付は老齢基礎年金(1階部分)と老齢共済年金の報酬比例部分(2階部分)、老齢共済年金の職域部分(3階部分)でした。 このときの会社員の年金給付額と公務員の年金給付額を比較すると、加入期間中の報酬と加入期間が同じ場合、職域部分(共済年金の3階部分)を除けば同額となります。このことから、公的年金制度の2階部分が厚生年金に統一された後は、会社員と公務員の年金に差はないといえます。