女子ツアーでの騒動に思う…米ゴルフ界に伝わる「キャディーが守るべき3つの“アップ”」とは?
キャディーの機転が選手の運命を大きく変えることも
日本の女子ツアー、アース・モンダミンカップで起こった選手とキャディーの揉め事は、プロキャディーの在り方はもちろんのこと、選手の在り方、さらには日米プロゴルフ界の違いに対しても、あらためて考えさせられた出来事だった。 古江彩佳が渋野日向子を逆転!日本人選手の米女子ツアーポイントランキング 「いいキャディー」とは、どんなキャディーのことを指すのだろうか。 その昔、PGAツアーの大ベテラン選手だったスコット・ホークは年齢とともに視力が低下し、ラインが見づらくなっていったが、そんなホークの「目」となってラインを読み、ホークにさらなる勝利をもたらしていったのは、長年の相棒キャディー、デーモン・グリーンだった。 そんな折り、下部ツアーを席捲し、PGAツアー入りを決めたザック・ジョンソンは「僕のキャディーになってほしい」とグリーンに懇願。グリーンはボスであるホークに相談すると、ホークは「プロキャディーとしてのキミのキャリアにおける選択だ。好きなようにしなさい」と言ってくれたそうだ。 2004年からジョンソンのキャディーになったグリーンは、飛距離が出ないジョンソンが勝つためのコース攻略を巧みに助言。若いジョンソンを叱咤激励し、07年マスターズ制覇と15年全英オープン制覇へ導いた。 21年の秋。下部ツアーのコーンフェリーツアーでは、予選会最終日にこんな出来事があった。 上位40位に食い込めば、翌シーズンの出場権が手に入るというぎりぎりの位置でプレーしていたマーク・アングイアーノのティーショットは大きく右に飛び出し、OB杭のすぐそばへ。 ルール委員が2本のOB杭を紐で結び、アングイアーノのボールは紐の外側と判定。OBを言い渡されたアングイアーノがティーイングエリアへ戻り、第3打を打とうとした瞬間、彼のキャディーが「ちょっと待った!」と声を上げた。 キャディーいわく、紐を張った2本のOB杭のうちの1本は、そのエリアに立てられていた白いOB杭の列の一番最後に立っていた杭だったのだが、他のすべてのOB杭のベース部分にマル印がペイントされているのに「このラスト1本の杭だけマルがない」と指摘。 よくよく調べてみたら、その最後の1本は、すぐそばの民家の持ち主が自分の庭を保護するために勝手に立てたニセモノとわかり、「OBではない」と判定されたアングイアーノは無罰でボールをリプレース。 このホールをパーで収め、翌シーズンの出場権を獲得した。キャディーの冷静な状況観察が無かったら、彼の翌シーズンは「流浪の1年」になっていたのかもしれない。