寒風の中、上半身裸の男児が顔を白く塗り疾走 福井県敦賀市で奇祭「山の神講」
福井県敦賀市赤崎区で室町時代から続くとされる伝統の奇祭「山の神講(かんこ)」が12月8日、行われた。寒風が吹く中、上半身裸で白い短パン姿の男児3人が元気よく区内を走って山の神にお供え物を届けた。帰りは顔や体を白く塗り、地蔵に変装して再び疾走した。 山の神講は、妖怪ヌエが集落の田畑を荒らし、住民が神仏に祈り退治した伝説に由来。区内の小学生男児が、当番宅の「講宿(こうやど)」から山際の大日如来を祭る大日堂まで走り、お供え物を届けるのが習わしで、集落の平穏や子どもたちの無病息災を願う。 今年は細川拓朗さん(39)宅が講宿を担当した。大将を務める児童3人が参加。区内の高校生2人がサポートした。 講宿に集合した男児たちは、まずは「力めし」と呼ばれるおにぎりを食べて腹ごしらえ。ふんどし姿で腰にしめ縄を巻いた児童は、すりつぶした米とお神酒を混ぜた「しとぎ」を持ち、ほかの児童はわらを三つ編みにした「つと」を持って勢いよく出発。「やーまのかんこのまーつりやい」「そーりゃ、なーんのまーつりやい」と声を張り上げ、1キロ弱離れた大日堂まで駆け上がった。 大日堂に到着すると、「大将!」「1番!」「2番!」「3番!」と叫び、しめ縄や、つとを松の根元に投げた。お堂内でお供えと参拝を済ませると、ヌエにいたずらをされないように「しとぎ」を顔や体にべとり。地蔵に変装して再び走り出し、講宿に戻った。 沿道では、多くの区民が「頑張れ」「ようやった」と男児たちに声をかけたり、拍手したりしていた。完走後、児童は「寒かったけど、みんなで完走できてよかった」と満足げ。3年連続で大将を務めた児童は「地域の伝統の行事を自分たちが協力してこれからもずっと受け継いでいきたい」と話していた。
福井新聞社