部材3000社を即座に把握…パナソニック、供給網強靱にするシステムの全容
パナソニック社内分社のエレクトリックワークス(EW)社は、電気設備のサプライチェーン(供給網)管理(SCM)システムを今春に稼働した。災害などに備えてサプライチェーンを強靱(きょうじん)にする狙いがあり、有事の状況把握に過去は10日ほどかかっていたのを1日に短縮した。部材の調達リスクを減らして、安定した事業継続計画(BCP)の運用を目指す。 【一覧表】電機メーカー7社の業績詳細 パナソニックEW社は富士通のプラットフォーム(基盤)を活用したSCMシステム「EWレジ」を国内17拠点と海外1拠点に導入した。前身となる富士通のシステムは2023年から稼働しており、今回の刷新で全社的な情報共有や状況把握を自動化した。 従来は数万点の部材の情報を部門ごとに異なるデータで管理しており、参照に時間がかかっていたが、EWレジはサプライヤー約3000社の地理情報や発注情報を統合して管理する。災害の発生により供給が滞りそうな場合、いつ部材切れが起きるのかを即座に把握できるようになった。 在庫管理や長期販売予測の策定といった機能もある。パナソニックEW社が扱う製品品番は10万を超えており、「半年から1年以上先の予測は属人的に対応しにくい。人工知能(AI)で計算し、製造・販売・在庫(PSI)計画を安定させる」(森下賢治サプライチェーン統括センター所長)という。 大瀧清社長は「供給網の強靱化戦略を実現し、設備インフラ事業の社会的責任を果たす」と力を込める。(大阪・森下晃行)