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豪雨被災パン工場 再開窮地 3市町39校の給食 限られた予算、どうする献立の多様性 鹿児島・大隅半島

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南日本新聞

 大隅半島の3市町の39校に学校給食用パンを供給していた鹿屋市の工場が7月上旬の記録的大雨で大きな被害を受け、操業を停止している。各教育委員会は他の業者から仕入れたり、冷凍パンに切り替えたりするなど当面の対策を決めたが、献立の多様性確保や費用面から再開を望む声は大きい。 【写真】浸水でパン箱が浮かぶ工場内=7月6日午前8時すぎ、鹿屋市上野町のフランスパン(同社提供)

 被災したのは鹿屋市上野町の給食パン工場「フランスパン」。原真純常務(34)は「機械は水没して全て駄目になった」と肩を落とす。  同市で観測史上最多の1時間109.5ミリの猛烈な雨が降った7月6日、工場横を流れる高須川が一気にあふれた。30分程度で工場は2.6メートルの高さまで水没。天井には水に浮いた業務用冷蔵庫が突き破った穴が残る。  鹿屋市の小中学校の8割に当たる25校と鹿屋養護学校、垂水市と南大隅町の全小中学校にパンを供給していたが、同日から製造はストップした。3市町では週2~3回のパン食を米に変更、同社が米飯を提供していた鹿屋市吾平地区の4校は児童生徒にご飯を持参させた。  同社は4年前の台風16号でも被害を受けた。原常務は「浸水の危険性があり、ここでの再開は無理。負債も残っており自力での再建は難しい」と明かす。  工場再開が見通せない中、2学期以降どうするか。県学校給食会の調整で、垂水市は肝付町の業者、鹿屋市の一部は鹿児島市内の業者が引き受けた。南大隅町は近隣の業者が対応できず、パン食の回数を減らして割高な冷凍パンを使うことにした。

 約6千食を担う鹿屋市南部学校給食センターは量の多さから配送や包装などの調整がつかず、独自で市内の給食食材業者から冷凍パンを仕入れる。森屋尉所長(62)は「最近は野菜価格も変動が大きい。限られた予算でどうやりくりするか」と頭を悩ます。  当面のめどはついたが、3市町の担当者は「地元に工場があると助かる。できれば再開してほしい」と口をそろえる。  フランスパンと鹿屋市は再建に向けて協議、廃校になった小学校跡地なども視野に、移転先を模索している。市は「メニューの多様化にパンは欠かせない。できる限りサポートしたい」としている。 ■県組合加盟は22社、最盛期の6分の1  県パン工業協同組合によると、1976年の米飯給食の導入もあり、週5日あったパン食は現在、平均週1.8日まで減っている。  給食パンは県内統一の原料配合と規格で各工場が作る。手間の割りに利益は薄い。少子化による学校の統廃合が進み、売り上げは減る一方だ。老朽化した機械の更新がままならない業者は少なくない。

 後継者不足も深刻で現在、組合に加盟するのは22社。130社近かった最盛期の6分の1まで減った。  同組合の木元繁理事長(66)は「業界として何らかの対策を考えなければ、今後、給食パンを安定供給できなくなる」と訴える。

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