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ワンレングスアイアン、アームロック式パット、極端な肉体改造、ワンプレーンスウィング……デシャンボーのゴルフは「ゴルフの未来」となるか?中井学に聞いてみた

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みんなのゴルフダイジェスト

「全米オープン」で圧倒的勝利をつかんだブライソン・デシャンボー。肉体改造による飛距離アップ、ワンプレーンスウィング、アームロック式パッティング、ワンレングスアイアン、飛距離でコースをねじ伏せるマネジメント等々、独自の方法論を駆使しての勝利は、「彼のゴルフが未来の定番となるのか?」という議論を巻き起こしている。実際のところどうなのか、プロゴルファー・中井学に聞いた。 ブライソン・デシャンボーのドライバー連続写真はコチラから

圧倒的飛距離を手に入れても狂わなかったショートゲームの距離感

まずは「肉体改造による飛距離アップ」だが、中井は他のプレーヤーがデシャンボーのように肉体改造して飛距離アップに成功しても、彼ほど上手くいくとは限らないという。 「デシャンボーのようにドライバーで飛ばして、短いセカンドの距離を残すというスタイルで全員が成功するかと言われたら、そうではないと僕は思います。あれだけトレーニングして飛距離アップすると、多くの選手はショートゲームのタッチが狂ってしまうはずですが、デシャンボ―はまったく狂っていなかった。これはいかに彼が科学的にアプローチの距離感を作っていたかということの証明ですから」(中井) 「肉体改造して飛距離アップした」ことに目がいくが、「そもそも肉体改造をして飛距離アップしたにも関わらず狂いの出ないアプローチの距離感を持っていた」ことが重要だということだ。 デシャンボーは、練習場はもちろん、コースにも計測機を持ち込み、バンカーショットでさえも計測器で科学的に分析を行っている。しかも日常的に。そのような科学的な方法でアプローチショットを構築しているからこそ、肉体改造による影響が出ていないのだ。なにもかもフィーリング、というプレーヤーではそうはいかないかもしれない。 続いては、アームロック式パッティングだ。アップライトな中~長尺パター を左腕(右利きの場合)の前腕に固定して、ボールの近くに構えてストロークするスタイルだ。キーガン・ブラッドリーやウェブ・シンプソンなどかつてルールで規制される前、パターを体に固定させて結果を出していた選手が採用するスタイルで、現行ルールの盲点とも言われる打ち方だ。とはいえ多くの選手は採用していないが、デシャンボ―がメジャー制覇を果たしたことにより、増えていくのだろうか。 「プロにとっては入ることがすべてだから取り入れる選手も少なからずいると思いますが、全員が全員、アームロック式パッティングを取り入れるかと言われるとそれも違うと思うんです。日本人の場合は『入るならやる』という人もいますが、アメリカ人はクール(カッコいい)じゃないと取り入れない(笑)。デシャンボ―の場合は勝つために選んでいるけど、アメリカ人はあんなことまでして、入らなかったらカッコ悪いと考えることが多いんです」 入るという結果をとるか、見た目のクールさをとるか……果たしてどちらになるだろうか? 続いては、デシャンボーの代名詞ともいえる「ワンレングスアイアン」ピッチングウェッジから4番アイアンまで37.5インチと6番アイアンの長さに揃えている。これも未来の定番にはならないと中井は考える。 「6番アイアンの長さで、ロフトだけ立った4番、5番アイアンで打ってもボールが上がるわけがないですし、ボールが飛ばなくなります。そうするとパワーがないと打ちこなせないんです。それにピッチングウェッジから7番アイアンは通常より長いクラブとなっていて、コントロールショットの精度も重要になってくる。だからこそ、四六時中練習しなければならない。ワンレングスアイアンが定番化するのは考えにくいです」 続いては、デシャンボーのハンドアップに構える「ワンプレーンスウィング」。これは未来の定番となるだろうか?中井は「こういった考えは昔からある」という。 「デシャンボーのスウィングは、『ザ・ゴルフィング・マシーン』という本に沿ったもので、背骨のアングル(スパインアングル)とシャフトプレーンが垂直になれば遠心力が最大限になるという考え方です。デシャンボーはハンドアップに構えますが、ハンドアップが目的ではなく、スパインアングルと垂直にしているんです。そうすると自然とボールから離れた構えになりますし、デシャンボーほどではないですけど、USPGAツアーではすでに定番になっています」 というわけで、中井は、極端な肉体改造も、アームロック式パッティングも、ワンレングスアイアンも基本的には“定番化”はしないだろうと予測する。ワンプレーンスウィングについても、あれほど極端に体現する選手は出てこないだろうという予測だ。 ただ一方で、全米オープン以外のメジャーでもデシャンボーのゴルフが猛威を振るえば、世界のゴルフの潮流が変わる可能性はゼロではない。 「今回の全米オープンは『デシャンボーの洗礼』を受けたわけですよね。難しいコースでも、圧倒的飛距離とラフからのウェッジショットの巧みさがあれば結果が出る、という答えを出されたしまったわけです。だけど、それはあくまでUSGA(全米オープンを主催する全米ゴルフ協会)が設定したコース設定に答えを出したに過ぎないんです。マスターズと全英オープン、全米プロの3つのメジャーに関しては、それぞれ主催者が違い、彼らの考えているゴルフに対する哲学がセッティングにも表れる。それらの試合でデシャンボーがどういうプレーを見せるか、とくにマスターズと全英オープンに通用するのかが見物ではないでしょうか」 11月のマスターズでデシャンボーがメジャー2連勝を飾るようなことになったら……? ゴルフ界にさらなる激震が走る未来は来るか、来ないかーー?

みんなのゴルフダイジェスト編集部

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