コミットメントライン契約締結165社 新型コロナ背景に件数4.7倍、契約額9.5倍に
コロナ禍を背景に、上場企業の資金調達に関連した情報開示が増えている。上場企業では、現時点において新型コロナによる重大な影響を受けていなくても、今後の業績見通しの判断が難しい状況に置かれ、手元資金を厚めに確保しようとする動きが多くなっているようだ。資金調達の手段は様々だが、近頃上場企業の適時開示情報でよく目につくのが「コミットメントライン契約」の締結。同契約の特徴は、企業が金融機関と契約を結び「あらかじめ設定された期間」かつ「融資枠内」であれば審査なしで融資を受けられる約束(コミット)をする契約で、金利とは別に手数料がかかるものの、必要に応じたスムーズな資金調達が可能になるとともに、金融機関と当該企業の関係性を判断するひとつの指標となる。 帝国データバンクでは2020年1月1日から9月30日までの適時開示情報から、コミットメントライン契約の締結を公表した上場企業を集計した。 同様の調査は2020年8月26日に続き今回が2回目。 ※コミットメントライン…一定期間において貸出極度を設定し、その範囲内であれば何度でも資金の借入・返済ができる融資形態
契約件数
2020年1月1日~9月30日にコミットメントライン契約の締結を発表した上場企業は165社となり、前年同期(35社)比で4.7倍に急増している。 また、165社のうち、新型コロナによる事業環境の変化や、不測の事態に備えるための財務基盤の安定化が契約の主たる目的であるとした会社は103社確認され、全体の約62.4%を占めた。
契約金額
165社の契約金額の合計は3兆1464億円となり、前年同期(3312億円)比で9.5倍となった。 また、3兆1464億円のうち、新型コロナへの備えを理由とした103社の契約金額は1兆6400億円となり、全体の約52.1%を占めた。