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【追悼】「スーパー戦隊シリーズ」の生みの親、元東映プロデューサー・吉川 進さん。"弱さ"を知るヒーローの遺伝子

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伝説の東映プロデューサー、吉川 進(よしかわ・すすむ)さんが亡くなった。特撮を日本の文化にした男が思い描いたヒーロー像、プロデュース哲学とはなんだったのか? 生前親交のあった切通理作(きりどおし・りさく)さんと秋田英夫さん、そして芸能界随一の特撮マニア、オジンオズボーン・篠宮 暁(あきら)さんが振り返る。 * * * ■人間味のあるヒーロー像を追求 7月10日、元東映プロデューサーの吉川 進さんが亡くなった。享年84。『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975~77年)などの「スーパー戦隊シリーズ」、『宇宙刑事ギャバン』(82~83年)などの「メタルヒーローシリーズ」を立ち上げるなど、特撮ドラマ界に多大なる功績を残した人物だ。 「スーパー戦隊シリーズ」は今年で45周年。吉川さんは半世紀近く愛され続けるメガコンテンツの原型を作り上げた。 シリーズ立ち上げの背景について、特撮書籍や雑誌の取材を通じて吉川さんと親交を深めたフリーライターの秋田英夫さんがこう語る。 「大ヒット作『仮面ライダー』に引けを取らないヒーローを......と知恵を絞った結果、「単体ヒーロー」に対する「集団ヒーロー」の『ゴレンジャー』が考え出されたのです。 吉川さんは石ノ森章太郎先生や平山亨プロデューサーが練り上げた企画を土台にして、信頼のおけるスタッフと力を合わせて作品を作りました。番組と連動する商品戦略の発展や、ヒロインの自立・躍進などについては吉川さんの功績がとても大きいですね」 そんな吉川さんがプロデュースした作品には共通するテーマがあった。2009年、吉川さんにインタビュー取材を敢行し、執筆した記事を激賞された評論家の切通理作さんが明かす。 「吉川さんは絶対的なヒーローではなく、人間としての"弱さ"を知るヒーローを描きたかったんだと思います。それが吉川さんのどの作品にも通ずる大きなテーマでした。 例えば、『ゴレンジャー』ならば、『5人そろって、ゴレンジャー!』と右掌を正面に掲げて名乗りを上げ、力を合わせて怪人を倒す。ヒーローひとりひとりは決して強いわけではありません。ヒーローに弱さがあるからこそ、ストーリーが一本調子にならず、今なおこのシリーズが続いているのだと思います」 前出の秋田さんも"吉川イズム"を熱っぽく語る。 「『ヒーローは必ず、虐げられし者、弱い者を助ける存在でなければなりません。さらには自分の身を捨ててでも、守るべき者のために戦う存在でもあります』と吉川さんは語っていました。 これはまさに昔から現在まで大切に受け継がれているヒーローの精神。その上で吉川さんは、子供たちが気軽に声をかけられる親しみやすさや、熱い血の通った人間味のあるヒーロー像をひたすら追求していました」 視聴歴35年。筋金入りの特撮マニア、お笑いコンビ・オジンオズボーンの篠宮 暁さんも、ヒーローたちが抱える心の葛藤に魅せられたひとりだ。 「特に印象に残っている吉川作品は、『メタルヒーローシリーズ』の『時空戦士スピルバン』(1986~87年)と『超人機メタルダー』(87~88年)。スピルバンは宇宙戦争の被害者で、メタルダーは太平洋戦争末期、日本軍が起死回生のために開発したアンドロイド。怖さを感じる一方、ヒーローたちの悲しいバックボーンは子供ながらに心に響くものがありました」 そんな篠宮さんは現在、5歳になる長男・都乃(との)君と東映の特撮ドラマを楽しんでいる。ちなみに『侍戦隊シンケンジャー』(2009~10年)のシンケンレッドが劇中で「殿」と呼ばれていることにちなんで「との」と名づけたそうだ。 「今は過去作品を動画視聴サービス『東映特撮ファンクラブ』でいつでも見られます。息子にとって、過去作も、リアルタイムで放送されている作品も区別はないので、手当たり次第に見ていますね。僕が子供の頃に見ていた『仮面ライダーBLACK RX』の主題歌を息子が歌っていたのには感動しました(笑)。ちなみに『BLACKシリーズ』も吉川さんの作品です!」

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