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精神衛生保ち患者対応 看護師に押し寄せたプレッシャー 「医療従事者お断り」にショック【コロナ禍・地域支える人々】/兵庫・丹波市

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丹波新聞

 猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症―。「第2波」が懸念されている中、感染拡大からこれまで、兵庫県丹波篠山市、丹波市の地域社会を維持するために奔走した人々に当時を振り返ってもらい、今後の備えを聞いた。今回は同県立丹波医療センター(同市氷上町石生)・感染管理認定看護師の柿原朱美さん。  3月9日から5月15日まで新型コロナウイルス感染症患者21人を受け入れた同病院で、感染防止対策の実務を取り仕切った。毎朝、コロナ会議を開き、患者、来院者はもとより、約600人の職員の安全を守るために心を砕いた。  「インフルエンザと同じで、飛沫感染と接触感染の予防。目、鼻、口からウイルスを入れなければ感染しないと言っていたのに、中国からの物流が途絶え、感染管理で一番大切なマスクが手に入らず、職員の健康が守れるのか心配だった」普段なら毎日交換するマスクを、けばだつまで使い、アルコールでの手指消毒を強化し、乗り切った。  準備はしていたが、いざ患者を受け入れるとなると怖さがあり、緊張感がみなぎった。感染を防ぎながら患者と接する看護師から、あらゆる質問が寄せられた。「感染患者の食事トレーを触り、運搬カートに入れたが大丈夫か」「洗濯物はどうしたらいいか」「シャワー室の掃除は」―。「悩みを一つひとつ、相談に一つひとつ乗り、不安を解消することが私の役割だった」と振り返る。  入院患者のほとんどが軽症者だった。パソコンを持ち込んで仕事をする人もあった。軽症でも入院を余儀なくされ、社会から隔離されたことで様々な不都合が生じ、精神的ショックを受けている患者もあった。担当ナースは、退院後の生活を思い悩む患者の話を聞き、心のケアにもあたった。  一方、看護師自身も自分がかかっていないか、不安とプレッシャーがあった。フル装備の防護服の着脱を病室に入るたびに繰り返さなければならない重症患者担当者には特に大きな負担になった。最前線のスタッフは、臨床心理士と面談し、精神衛生を保ちながら職務にあたった。家族から離れて暮らしたり、「医療従事者お断り」の言葉を実際に聞いたりと、生活面でつらい思いをするスタッフもいた。  「第1波を乗り越えたことで、みんなの自信になったと思う。マニュアルも相当つくれた。たんの吸引時にゴーグルを着用するなど、感染防止の意識がさらに高まった」  院内各所に置いた、手指消毒のアルコールの量の減り具合をチェックしている。減りが鈍ってくると、「緩んできたかな」と分かる。「治療薬もなく、ワクチンもない。気を緩めることはできません」。

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