ランボルギーニ・レヴエルト 詳細データテスト V12存続に拍手 驚異の速さ 歴代最高ハンドリング
走り ★★★★★★★★★★
スタートボタンはこれまでどおりトリガーガードタイプのボタンだが、押したときの反応は異なる。EV走行するチッタモードでスタートし、ほぼ無音で走り出す。 なにもしなければ、8~10km程度で充電を使い果たし、ディスプレイにV12がまもなく始動することを告げる表示が出る。 もちろん、ステアリングホイールの左側にある赤いロータリー式モードセレクターでストラーダ/スポーツ/コルサの各モードを選ぶと、内燃エンジンをいつでも目覚めさせることができる。こもったV12のエンジン音が聞こえはじめる瞬間は、ちょっとしたイベント感がある。市街地を出てエンジンをかけると、最高のハイブリッドスポーツカー・プロトタイプがピットを飛び出すような気分を味わえる。 左のダイヤルは走行モードの広範囲を調整するが、右のダイヤルはハイブリッドのモードをダイレクトにコントロールする。ハイブリッドモードやエンジンでの充電モード、パフォーマンスモードが設定される。 発進から全力を解放するには、左をコルサ、右をパフォーマンスにそれぞれ設定。さらに、バッテリーは最低でも90%必要だ。それから、モードダイヤル内のチェッカーフラッグアイコンを押し、ブレーキペダルを踏み、回転を上げ、身を引き締めたら、ブレーキを離す。 レヴエルトの発進は、激しいが乱れはない。リアが355幅であっても、2速に入ると接地面が暴れるが、その後はシームレスで圧倒的な加速力を見せる。これまでテストしたいかなるスーパーカーをも凌ぐほどだ。 97km/h到達に要するのは2.48秒で、161km/hは4.8秒、241km/hは10秒ジャスト。161km/hまでは、フェラーリSF90ストラダーレと同等で、差があっても0.1秒に収まる。なお、どちらもブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツを凌いでいる。しかしながら、それ以上では257km/hあたりまで、ほぼ1秒で16km/hずつ増速していく。0-1000mは、これまでテストしたクルマの最速レコードとなった。 とてつもなく勇ましくて荒々しいサウンドは、このV12を選ぶ理由として十分すぎるほど。DCTは、これまで試したなかでもっとも素早いものではないが、十分以上で、従来のISRよりはるかに効果的だ。 印象的なのは、このとんでもない速さを、いかに何気なく使えるかということ。かなり大きなクルマは、スピード感が削がれがちで、V12とシフトアップのクオリティは、増速のレートをごまかしてしまう。ちょっと不気味だ。 アクセスしやすさも同様だ。きわめてシャープで回転の速いV12は、瞬時にトルクが立ち上がるフロントモーターと相まって、活発でドラマティックな加速を生む。レヴエルトは瞬時にオンになり、パフォーマンスが止まらない。 このクルマの主となる魅力や強みは、やはり絶対的にV12だ。モーターを組み合わせたことはじつに効果的で、エンジンのリニアな領域に不自然なトルクを加えたりして荒らすようなことはない。マニュアルモードを選んだ場合のみ、ギアを2段上げてスロットルを踏み込むと、電気とガソリンのパワーの一体感がやや損なわれる。 10ポットキャリパーとセラミックディスクを備えるブレーキは、このクラスでは珍しくエネルギー回生が可能。にもかかわらずペダルフィールはとてもはっきりしていて、不満のないしっかり感がある。ウラカンのようなオーバーアシスト感はない。