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暦の上での「立夏」や「立秋」、実際の季節感と合わないカラクリ

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マネーポストWEB

 7月に最も高く、8月に入ると低下するという気温の傾向は中国内陸部だけではなく、パリやウィーン、ロンドンなどの欧州も同様だ。7月初めから夏の日差しが差し始めバケーション・シーズンが到来し、8月中旬ともなると曇りがちの日々が続き、秋の気候となる。ちなみに、イギリスから生まれた「ジューン・ブライド」という言葉も、6月のイギリスは天候が良く花が咲き誇る時期に由来する。日本では梅雨シーズンの最中だ。

 なぜアジアや欧州の諸都市と比較して、日本の夏の到来は遅いのか。これは、日本列島が海に囲まれているためだ。陸地と海を比較すると、陸地は太陽からの熱を素早く吸収するため地面が温まりやすいのに対し、海は温まりにくく冷めにくいという「比熱」の違いがある。このため、日本では1年間で最高気温になる時期が内陸部よりも2週間程遅くなるのだ。

 来年に延期になった東京オリンピックは、国際オリンピック委員会(IOC)が猛暑時期を懸念し、マラソン会場が東京から札幌へと変更された。「2008年にも北京で夏のオリンピックを開催したではないか」という声が出そうだが、北京の場合、オリンピック開催時期は秋に入る季節に当たり、季節の移り変わりは東京とは異なる。夏のオリンピックの猛暑問題は、東京だからこそ悩ましい問題なのだ。

 こうして見ると、二十四節気の「大暑」や「立秋」を読み取る場合、実際の季節を表しているというよりも、これから来る季節の事前アナウンスとして捉えるのが良さそうだ。体調を整えるための2週間の準備期間と考えてはいかがだろうか。

【プロフィール】たんげ・やすし/気象予報士。日本気象予報士会東京支部長。著書に『気候で読む日本史』(日経ビジネス人文庫)、『気候文明史』(日本経済新聞出版)、他。

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