【欲望を満たす道具扱い】生徒へのわいせつ行為で元校長に「懲役9年判決」被害者が明かした「悔恨」
通報により犯行が発覚
「主文、被告人を懲役9年に処する」 12月9日、細谷泰暢裁判長が判決を言い渡した瞬間、北村比左嘉被告(ひさよし・57)は身じろぎもせず、じっと前を向いていた。 【画像】「交際していると思っていた」…教え子に性的暴行・撮影の元中学校長「卑劣な素顔」 東京都練馬区立中学校元校長の北村被告は14年前、当時の教え子だった女子生徒Aさんに性的暴行を加え、ケガを負わせたとして準強姦致傷罪に問われていた。 北村被告はAさんへの性的暴行や、別の女子生徒Bさんへのわいせつ行為を撮影・保存したとして、児童ポルノ禁止法違反の罪にも問われていたが、Bさんへのわいせつ行為については時効のため、起訴に至らなかった。 「Bさんが東京都教育委員会の相談窓口に『中学時代、北村先生から性暴力を受けた』と相談したことで、事件が発覚しました。警察が校長室を捜索したところ、AさんやBさんへの性的行為を撮影したビデオカメラが発見され、逮捕につながったのです」(全国紙社会部記者) Bさんは中学校を卒業する間際に「(映像を)消してください」とお願いし、北村被告は「わかった」と了承したというが、映像が残っていたことに対して12月2日の公判のなかで、Bさんはこう述べている。 「校長室から証拠(わいせつな画像)が発見されたという連絡をいただいたときは、信じられない気持ちでいっぱいでした。同時に強い嫌悪感を覚えました。精一杯の勇気を振りしぼって『削除してほしい』とお願いしたことは、被告人にとっては簡単に破れる口約束に過ぎなかったのです。そして、被告人は、はじめから私のことを自身の欲望を満たすための道具としてしか見ていなかったのだと強く感じました」 ◆「お付き合いをしていると…」 11月28日に行われた被告人質問のなかで、北村被告は性障害専門の医療センターで検査を受けたことを以下のように明かしている。 「小児性愛など治療が必要な性障害ではなく、いろいろなストレスが重なった結果、認知が歪んでいたということです」 続けて、「認知が歪んでいた」ため、「教師と生徒という立場でありながら、Aさんをひとりの女性として好きになり、お付き合いをしている錯覚に陥ってしまった」と北村被告は主張した。 Aさんが卒業した年に、入れ替わるように入学したのがBさんだった。 被告人質問のなかで、弁護人に「Bさんはどんな生徒でしたか」と質問された北村被告はこう述べている。 「容姿がAさんにそっくりで、Aさんがまた現れたように感じていました。Aさんのように恋人というわけではないんですが、好意を持っていました。そしてBさんも、私に好感を持ってくれていると感じていました」 そしてBさんもAさんと同じく「マッサージをしてあげる」という名目で第一理科準備室に呼び出し、わいせつな行為に及んだのだという。北村被告によれば「『マッサージ』というのは『性的行為』を表す、いわば隠語みたいなもので、AさんやBさんと共有していると思っていました」という。 12月2日の第4回公判ではAさん、Bさんが出廷し、それぞれの心情を述べた。 二人とも、いまも性被害の記憶に苦しんでいると訴え、発言には北村被告に対する強い怒りが滲んでいた。 「卒業までの辛抱だと何度も何度も自分に言い聞かせていましたが、なぜ自分だけがこんな目に遭うのかとつらくて悔しくて泣きながら帰った日もありました。被害は私の人生にも影響を及ぼしました。 私にとって、当時の記憶が脳裏にちらつくため、性行為は本当に苦痛でした。私には長く付き合っていた男性がいましたが、彼に我慢をさせることが申し訳ないと思い、結局、別れてしまいました。それ以来、私は恋愛や結婚に対する興味がなくなってしまいました。私は生涯、この消したくても消せない嫌な記憶とともに生きていかなければいけないのです。被告人がどんな刑に処されても私の傷が癒えることはありません」(Aさん) ◆卑劣な「口止め」 「私はおよそ2年間にわたって、放課後に呼び出されて校舎の中でわいせつな行為をされました。そして私が受けた被害が犯罪であると気づくまでに非常に長い時間がかかってしまったため、罪状は児童ポルノの所持にとどまりました。何度か母に話そうかと思ったことがありましたが、先生から口止めされているという重圧から、結局、話すことができませんでした。時効を迎える前に、もっと早く行動していたらと悔しく思っています。 被告人は罪が露見しなければ良いとの態度で人生を謳歌し、校長まで上り詰めていたということに強い憤りを覚えます。執行猶予がつかない刑の確定を強く望みます」(Bさん) 12月3日の論告弁論で、検察官が懲役9年を求刑、弁護人は「準強姦致傷は無罪」として執行猶予付きの判決を求めた。 そして12月9日の判決公判。 大きな争点であった「ケガを負っていなければ準強姦罪であり、時効が成立する」ことに対して、裁判長は「Aさんがケガを負った」ことを認定し、さらに、弁護人の「仮に負ったとしても通常の性行為でも生じる程度のケガであり、傷害として評価すべきではない」という主張には「そのような解釈は採用できない」と一蹴した。 裁判長が量刑を伝え、「圧倒的な上下関係を背景に行為をエスカレートさせた」「(女子中学生が)性被害について、親も含む他人に打ち明けることは、羞恥心や自責感からそもそも難しい」と述べた後も、北村被告はしばらく証言台に立ち続けた。 圧倒的立場を利用してAさん、Bさんの人生を踏みにじった被告は、証言台で判決を聞いて何を思ったのか。その心中は誰にもうかがい知れない。 関連記事『【避妊具なしで性交に及び…】教え子へ性的暴行の元校長 被害者が明かした「異常すぎる犯行内容」』では、北村被告の身勝手すぎる犯行について、詳報している。 取材・文:中平良
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