2020年ELLE的重大ジェンダー・ニュースを総ざらい
コロナ禍での生理用品無料化を果たしたスコットランドなど、ジェンダーを巡り大きく話題になった2020年のニュースの中から、特にポイントとなったトピックをELLEエディターたちがピックアップ。
ジェンダー問題が解消されない映画界の現状が露呈
世界中で188のノミネート、71の受賞を果たした『ストーリー・オブ・マイライブ/わたしの若草物語』の監督、グレタ・ガーウィグがアカデミー賞監督賞から完全スルーされた。 いっぽうフランス・セザール賞では、144ノミネート44受賞を果たした『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督が監督賞受賞を逃し、そこそこの評でセザール賞を除けば4受賞(そのすべてがベネチア)『J'accuse』のロマン・ポランスキー(刑から逃れている性犯罪者)が獲得。主演のアデル・エネルが「恥を知れ!」と言って会場を出ていったのも納得。『燃ゆる女~』があまりにもち密で完成度が高かった(しかも予算も少ない)作品だったがゆえ、マジョリティである男性会員たちの嫉妬を買ったと捉える人も。 結局、巨大な同属者集団であるアカデミーのマインドなどそうそう簡単に変わらないということが証明された。やはりルールを変えた米国アカデミーは問題はあれど正しかったと言わざるを得ない。
スコットランドで生理用品が無料に フランスでは貧困層に無料配布
6月、フランスが最貧困層の女性へのために生理用品の無料提供を決定すると、海を隔ててお隣のスコットランド議会は11月24日に、地方自治体が必要とするすべての人が無料で入手できるよう努めるよう法律を整備。 生理用品といえば、被災地やコロナ禍など危機的状況で、改めて女性のクオリティ・オブ・ライフを支える生活必需品であること、女性の最低限の生活を圧迫する出費であることを再認識させるものとなった。なのに公的サポートがほぼゼロ! 2020年は「生理コスト」の認知が広がった年だった。
女性セレブがセックス業界をサポート
11月カーラ・デルヴィーニュとダコタ・ジョンソンが女性ためのセックストイブランドと提携したとのニュースが。セックストイにジェンダー格差があったことを指摘し、セクシュアリティのケアは男女が公平に手にするべき権利だと主張。 一方、元恋人シャイア・ラブーフをDVで訴えているFKAツイッグスがコロナで影響を受けている性産業に従事者たちのために募金活動をスタ―ト。圧倒的に女性が多い業界で経済的にも人権の面からも蔑ろにされている仲間たちを支援している。 性産業を不健全なまま放置しない。この動きには今後も注目。