実は「スマホ元年」以前のWebコンテンツは消えている? Flashや個人HPを辿る難しさ
ニフティサーブやジオシティーズは個人サイトのホスティングサービスとして、90年代~00年代に多くの人に選ばれていました。そして90年代~00年代頃には、趣味目的のサイトから学術・研究目的のサイトまで多数の個人サイトが作られていました。 たとえば趣味目的の場合、よく制作されていたのは、 ・90年代~00年代に放送されたテレビ番組などの感想サイト ・90年代~00年代にウェブ上で公開されていた二次創作サイト など。この多くはホームページ制作者がコンテンツを別サービスに移行していない限り、消滅済み。 たとえば当時のテレビ番組の反響や、数字に表れづらい「当時のコアな楽しみ方」などを2024年現在から検証することの難易度はすでに高いです。 また同様に「90年代~00年代の旧車の情報」「90年代~00年代に無くなってしまった店舗の情報」「90年代~00年代に無くなってしまったスポーツチームの情報」などを辿る難しさも増しています。 ■「リンク集」の消失 もっとも90年代~00年代のウェブサイトであろうと、Wayback Machineにアーカイブされているウェブサイトも少なくありません(※アーカイブされたページも全URLが閲覧可能とは限りません)。しかし、当時のウェブサイトの「URL」を特定する行為自体の難易度も高まっています。 90年代~00年代にかけてはGoogle、Yahoo!など各種検索エンジンの性能が必ずしも高く無く、有用なサイトをまとめた「リンク集」の価値が2024年現在とは比べものにならないほど大きいものでした。 しかしその「リンク集」自体もニフティサーブやジオシティーズといったホスティングサービスにホストされていることが多く、それらのサービス終了とともに消失しているケースが多数です。 ■Flash Playerの終了
Flash Playerが2020年にサービス終了し、Flashコンテンツがウェブ上から消失した影響も非常に大きいです。Flashアニメなど「Flash」を用いたコンテンツは、90年代~00年代に極めて人気が高かったためです。 作者自らがFlashアニメを動画変換し、動画共有サイトに投稿したり、FlashコンテンツをHTML5に変換して公開を継続する一部の例を除き、多くのコンテンツが失われました。 たとえば日本では2004年、モルドバ出身の音楽グループO-Zoneの『恋のマイアヒ』の歌詞が「日本語に聞こえる」とネット上で話題になり、次々Flashムービーが作られ、大きな話題に。社会現象ともなり、ムービーに登場する猫が「のまネコ」と名付けられ、「マイアヒ旋風」とも呼ばれました。一説には流行当時、この曲の空耳FLASHは10作品以上あったと言われています。 しかし2024年11月時点では、筆者が調べた限りでは当時制作された空耳FLASHが「本当に10作品以上あったのか」は「確かに多数のFLASHが公開されていたのは事実だが、厳密な公開本数やその再生回数はよく分からない」と思われます。 当時のFlash投稿サイトの多くが閉鎖済みであり、なおかつFlash Player自体もサービス終了しており、投稿者による動画変換か無断転載が行われていない限り、作品自体が消えているケースが多いためです。 Flashコンテンツが大量に消失してしまったことで、少なくとも『恋のマイアヒ』に関しては、何故流行したのかが2024年現在から見ると分かりづらい側面がありそうです。 ■「ガラケーサイト」の閉鎖