【巨人】阪神・大山は残留決断も歴史的FA参戦に見えた球団の決意 球界改革へ意義ある挑戦
巨人がFA獲得レースに参戦していた阪神・大山悠輔内野手(29)は29日、残留を決断した。交渉解禁から大注目を集めた伝統の一戦の場外戦。一騎打ちの結果、史上初となる阪神から巨人へのFA移籍は実現しなかったが、巨人は新たな歴史の扉を開こうと球団として全力を注いできた。 球団創設90周年に4年ぶりリーグ優勝も、CS最終ステージは6試合計9得点でDeNAに敗退。5番打者を固定できず、4番の岡本和が勝負を避けられるという課題が浮き彫りとなった。今季の得点圏打率リーグ2位の3割5分4厘と勝負強い大山は補強ポイントと合致。一、三塁を守れる守備力、体の強さ、全力疾走など取り組む姿勢も含めて高評価し、FA宣言を受けて熱意を伝えてきた。 球団は阪神を大きく上回る6年総額24億円超の超大型複数年契約を用意。阿部監督は札幌でトークショーに出席した23日に「この戦力で来年勝てるかと言ったら勝てないと思う。優勝したからこそ補強って必要」と熱く語り、「本人が一番懸念しているのは阪神から巨人に行くことだと思う。今は時代が変わってきているし大丈夫だと思う。うちに来て世紀の大FAの先駆者になって欲しい」などとラブコールを送った。 さらには坂本勇人内野手が「大山くんはいい子なので来てほしいと思います」と三塁のライバルになり得る中で歓迎の意思を示し、補強については「当たり前のこと。ジャイアンツは常に勝たないといけないチーム。僕もそこでずっとレギュラーを張ってきた自負もあります」とコメント。岡本和真内野手も「ジャイアンツに来られるとなれば、同じ右バッターとして二人で高め合いたい、競い合いたい気持ちもある」と話すなど、選手たちは溶け込みやすい環境作り、サポートする構えを見せていた。 願いは届かず、獲得は実現しなかったが、どんな挑戦も踏み出さなければ結果は分からない。阪神から巨人へのFA移籍はタブーという長年の慣習、暗黙の了解、不文律のようなアンタッチャブルな領域に踏み込んで、思い切ってアタックした。それほど大山が欲しい選手だった。それと同時に、急速に変化する時代の中で伝統を守りつつ、より良い野球界にするために移籍の活性化など、改革できる部分は積極的にトライしていこうとする球団の強い決意が感じられた。 ベストを尽くした以上、切り替えて前進するしかない。この決定を受けて巨人ナイン、特に一塁、三塁を守れる選手のさらなる奮起が期待される。阪神との歴史的なFA争奪戦。巨人が果敢に挑んだ今回の勝負は球史に残る意義ある動きだったと言えるだろう。(巨人担当・片岡 優帆)
報知新聞社