愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「1ドル130円台に突入した“円安”と“為替市場”の仕組み」を解説
本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。 5月11日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと三井住友DSアセットマネジメント株式会社フェローの宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「1ドル130円台に突入した“円安”と“為替市場”の仕組み」というテーマでお話を伺いました。
20年ぶりの円安水準
浜崎:宗さま、今回は「1ドル130円台に突入した“円安”と“為替市場”の仕組み」について、お話しいただけるということですが。 やしろ:昨年末頃から、このコーナーで宗さまが、円安になる可能性について何度も指摘されていました。実際に今、円安がものすごく進んでいますよね。 宗正:はい。そろそろ本部長、私のことを信じていただけますか? やしろ:いや、初めから信じてるんですよ! 信じているんです! 宗正:昨年末は1ドルおよそ115円でした。そして、ゴールデンウィークを挟んだ最近は、1ドル130円位で推移。今のドルに対する円の水準は、2002年以来20年ぶりの円安なんです。特に3月に入って以降は、10円以上も急速に円安・ドル高が進んだ。これは極めて珍しいケースです。 やしろ:“良い円安”と“悪い円安”みたいな言葉もあったりしますけれども、これはあまり良い方向の円安ではないっていうことですよね。 宗正:“良い円安”というのはアメリカの景気が良くなって、それと連動して金利も上がることです。世の中の生活水準と金利のバランスが取れている状態で、それに伴う円安。ところが、今のアメリカは物価の上昇、つまりインフレが主導する金利の引き上げ。あまり良い形ではないですよね。 やしろ:そもそもの話になりますが、為替市場はなぜ必要で、どのような仕組みで、日々刻々と変わっているのでしょうか? 宗正:国や地域によって通貨が異なるので、為替市場が必要なわけです。例えばアメリカ旅行に行って現地でお買い物を楽しむためには「ドル」が必要。旅立つ前に、円をドルに換えますよね。ただし、同じ1万円でも交換できるドルの額は、日々刻々と変わるわけです。この交換比率を為替レートといいます。1ドル130円というのがそうです。 為替レートは、需要と供給のバランスで決まります。ドルが欲しいという人が多ければ、ドル高に。逆に円の方が多ければ、円高ということになるわけです。 やしろ:今、世界中でドルを買って、円を含む通貨を売っている人のほうが多いということですよね。 宗正:はい。世の中の資金は金利の低い国から高い国に流れます。高い所から低い所に流れる川の流れとは逆だというふうに覚えてください。 やしろ:その世界中で多くの人が取引する為替市場。為替レートがバラバラになることはないのでしょうか。 宗正:必ず1つにまとまります。為替市場は情報効率の高いマーケットです。ある通貨を売りたい側は少しでも高く売りたい、買いたい側は少しでも安く買いたい。両者の思いが一瞬の為替レートのズレを瞬時に1つにします。裁定取引と言いますが、為替市場は「一物一価」と言ってもいいでしょうね。