「認知症に効く」とうたう健康食品に、高いお金を払う価値はあるのか?エビデンスのすり替えに注意を【山田悠史医師】
栄養をちゃんと取れることが何より大事
しかし、この場合、肉によってもらたされる認知症リスク以上に、摂取するタンパク質が減ってしまったこと、また総じて摂取する栄養が減ってしまったことによる体重減少、ひいては筋肉量の減少や転倒のリスク、また食べる幸せを失ったことによる精神的な影響の方が懸念される状況です。それならば、むしろ好きなだけ肉を食べてもらった方が健康にも認知症にも良いといえるかもしれません。 このように、一見害のない食品でも、何かに傾倒することには、それを過剰に摂取することによるリスク、摂取し続けることでその他の必要な栄養素を欠くリスク、食べる幸せや豊かさが失われるリスクがあります。 また、そのような健康食品は、「認知症に効く」という宣伝を盾に、食品の持つ本来の価値に見合わないような高額な値段をつけられている場合もあり、高いコストを支払わされるリスクもあります。こうしたリスクと、必ずしも科学的に明確になっていない効果のバランスを考えれば、自ずとどうすべきかの答えは見えてくるはずです。 前回記事「「認知症に本当に必要な薬」はごくシンプル!老年医学専門医が、保険適用の古典的な2つの薬を勧める理由【山田悠史医師】」>>
山田 悠史