スイス中銀、0.5ポイント利下げ-予想以上の緩和でフラン高抑制
(ブルームバーグ): スイス国立銀行(中央銀行)は12日、政策金利を0.5ポイント引き下げ0.5%とした。予想以上の緩和で、スイス・フラン高抑制措置を強めた。
ブルームバーグが実施した調査では、大半のエコノミストが0.25ポイントの引き下げを予想していた。
決定を受けてフランは対ユーロで約0.6%下落し1ユーロ=0.9344フランと、11月25日以来の安値を付けた。同月にはユーロに対し約10年ぶりの水準に達していた。
シュレーゲル総裁は記者会見で「金融政策をさらに緩和する必要がある場合、政策金利の引き下げは引き続きわれわれの主な手段だ。同時に、必要に応じて外国為替市場に介入する用意があることも変わらない」と述べた。
同総裁は就任後初の決定で市場を驚かせ、地政学的な緊張が高まった際の安全資産としてフランを買ってきたトレーダーらに対し力を見せつけた。
0.5ポイントの利下げにより、投機的な投資家にとってのフランの魅力は低下したが、中銀に残された手段も縮小した。
あと2回の0.25ポイント利下げで政策金利は0となり、当局はフラン高を食い止めるために市場介入かマイナス金利かの選択を迫られることになる。いずれの選択にもコストが伴う。
中銀は2024年の4回の政策決定会合すべてで利下げをし、スイスの金利は世界最低水準となっている。金利はすでに、8年近くにわたるマイナス金利政策を終了した22年9月の水準に戻っている。
バンク・J・サフラ・サラシンのチーフエコノミスト、カルステン・ユニウス氏は「インフレリスクは低下傾向にあり、経済は潜在成長率を下回る成長にとどまっている。スイスの主要輸出品は構造的および循環的な問題によって苦戦している」と述べた。
今回の利下げを正しく予測した同氏は、来年上期にはさらに2回の0.25ポイント利下げがあるとみている。「シュレーゲル総裁は前任者と同様に、低過ぎるインフレと闘う決意を明確に示している」と指摘した。