【バスケ日本代表】河村勇輝「あってはならない試合」 パリ五輪初戦まで3週間、韓国戦で起きた“失意の30分間”から学ぶコト
トム・ホーバスHC「目を覚ませ」
第4Qは一転、河村が激しいボールマンプレッシャーや多彩なオフェンスでけん引し、流れを引き戻した。馬場、比江島、ジェイコブス晶、ホーキンソンが呼応し、先に体をぶつける「ヒットファースト」を徹底。最終盤には一時逆転する場面もあった。 河村はこのクォーターだけで16得点、4アシストという圧巻の活躍。前半はオフボールで相手がスイッチをしながら密着マークを仕掛けてきたこともあり、早めのP&Rでペイントタッチしたり、パスをさばいたりすることを意識していたという。 ただ、やはりトム・ホーバスHCの総括も手厳しい内容だった。 「第4Qにやっと日本のバスケットをできたかなと思っています。ただ明後日は日本のバスケットを最初から最後までやらないと、このタイミングでは駄目かなと思っています。今日の負けから学ばないと駄目で、英語でいうと『wake up call』、日本語でいうと目を覚ませかな。そういう感じです」 バスケの試合では、最終盤に追い詰められてからプレー強度が上がる場面はよく見られる。「最初からやれ」というツッコミも定番だ。最終第4Qは前出の5人がほぼフル出場して勝ちを拾いに行った印象だったが、最終12人を決めるサバイバルも兼ねた強化試合なため、いい内容のゲームであれば、より多くの選手を終盤の勝負所で試せていただろう。 もちろん相手もいることであり、お互いに相手がやりたいオフェンスをやらせないディフェンスを仕掛けるため、自分たちのバスケを常に表現することは簡単ではない。それでも国内トップの選手たちが集い、パリ五輪を目前に控えたチームの遂行力としては、あまりに物足りない内容だった。
河村「学ばなければこの試合が無駄になる」
次戦は7月7日の午後7時半から、同じく韓国と同アリーナで行う。パリ五輪前に国内で実施する最後の強化試合だ。「どんなバスケを見せたいか?」と問われたホーバスHCはこう言った。 「試合が終わってから(選手たちに)言ったんですけど、オフェンスやディフェンスというより、今日の第4Qの気持ちを出さないと駄目です。本当にそこだけ。全員、試合に出る時に100%の気持ちを出さないと駄目。そこを見てます。泥臭い仕事をやらないと。ヒットファーストができないと負けるじゃないですか。明後日はもう、そういうことは負けないと思います」 本番ではドイツ(3位)、フランス(9位)という格上と対戦する日本。今回対戦している韓国よりも高さがあり、体の強さもあり、スキルも高い。だからこそ、河村の危機感も強い。 「この試合から学ぶことは学びたいと思いますし、学ばなければこの試合が無駄になってしまう。マインドセットをもう1回切り替えて、次の日曜日の試合は自分たちからヒットファーストして、ディフェンスの遂行力を高めて戦うことが必要になるかなと思います」 常に自分たちに矢印を向け、序盤からエナジー全開でやるべきことをやり続ける。勝つための原点に立ち返り、決戦の地へと旅立ちたい。
長嶺 真輝