電動車混流生産を視野…マツダ、「宇品第1」再編の狙い
マツダは電動車の生産拡大などを念頭に、本社・宇品第1工場(広島市南区)で車両組み立て工場の再編に着手した。2本ある組み立てラインを1本に集約して機能強化を図る。生産能力の増減や投資額は明らかにしていないが、既存ラインでの車両組み立てを継続しつつ、数年単位で工事を進める構え。電動車を含めて複数車種を同一ラインで混流する考えの下、環境変化や需要変動にも柔軟に対応できる生産体制の構築を進める。 【写真】マツダの「宇品第1」 マツダは同一ラインでの多車種生産、同じ車種の複数ラインでの生産を組み合わせて国内工場・ライン間で補完する方針だ。プラットフォーム(車台)やパワートレーン(駆動装置)が違っても、サブラインに最小限の専用設備を導入して、車種間のタクトタイムの差を吸収することで、高効率な混流のメーンラインを運用する。 マツダは2027年にも、専用車台による初のバッテリー電気自動車(BEV)を投入する計画。電動車の生産が拡大すれば、電池パックの組み立て工程をはじめ、工場内に新たなスペースが必要となる見通しだ。構築するラインでは作業者の働きやすさへの配慮や製造工程の低炭素化など、生産性以外の観点も不可欠となる。 マツダは本社地区に車両組み立てライン3本を有し、23年度は計52万2000台を生産した。このうち、宇品第2工場は「CX―5」専用。宇品第1工場は2本の組み立てラインを運用し「CX―5」「CX―30」「MX―30」「ロードスター」「CX―8(海外向け)」の5車種を混流し、およそ30万台超の生産能力とみられる。