【独自解説】「若い人でも踏み間違えはしている」それでも事故に至らないワケは?高齢ドライバーによる“危険運転”相次ぐ背景に、認知機能だけではない高齢者特有の“意外な盲点”
相次ぐ高齢ドライバーによる交通事故。中でも多いのが、アクセルとブレーキの“踏み間違い”。また、年間に約200件起きるという“高速道路逆走”の約7割が高齢者との報告も…。他人事ではない“事故に繋がりやすい運転操作”とは?事故を防ぐため推奨される“後付け機器”とは?免許返納を検討すべき“認知機能レベル”とは?交通事故鑑定人・中島博史氏の解説です。 【いまだ逃走中】「これは殺人であって、ただの“ひき逃げ”ではない」重要指名手配犯・八田與一容疑者、事件から2年経過も手がかり掴めず、遺族が悲痛な胸の内を…
2019年に起きた“池袋暴走事故”以降、高齢ドライバーの交通事故発生件数は減少傾向にありましたが、コロナ禍が明けたこともあるためか、徐々に増えています。2024年6月11日には東京で、80代の男性が運転する車が暴走して2人がケガ。また、この3日前には奈良県で、65歳の女性が運転する車がレンタルスペースに突っ込む事故が発生。さらに、その3日前には埼玉県で、84歳の男性が運転する車が小学生の列に突っ込むなど、相次ぐ高齢者の事故。このうち、東京の80代男性と奈良の65歳女性が「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」と供述しています。
Q.「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」という言葉を、本当によく聞きますよね? (交通事故鑑定人・中島博史氏) 「実は、若い人でも踏み間違えはしているんです。ただ、若い人の場合は間違えたことに気付いてからのリカバリーも早いため、事故に至らない。どうしても高齢者になると、間違いに気付くこと、あるいは間違った操作から正しい操作に直すまでに時間がかかることから、事故に繋がりやすいです」 Q.踏み間違いでの事故が増えたのは、オートマチック車が普及したからですか? (中島氏) 「そうですね。あと、ペダルの踏み方です。踵を軸にしてアクセルとブレーキを踏み替えていくのが良いんですが、高齢になると足首が硬くなって、踵ごと上げる踏み方をして強い力で踏み込むので、踏み間違えたときに踏み替えるのが非常に難しくなります」
2021年から新型車への搭載が義務化されているのが、衝突被害軽減ブレーキが『止まる』をサポートする、いわゆる“自動ブレーキ”です。また、『踏み間違い時の急発進抑制などをサポート』『車線逸脱警報で、はみ出さないをサポート』『先進ライトで危険を早期発見』といった“サポカー”も、特に高齢運転者に推奨されています。 ただ、道路交通評論家・中村拓司氏によると、「高齢者が運転している車は、年式が古い。“慣れた車を運転するほうが安全”という考えもあり、新しい車を買うのが敬遠されがち。そんな方には“後付け機器”を推奨したい」ということです。
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