異性の入浴介助に苦痛、雨の日も前向きに…車いすの大学生が商品開発 レインウェア、膝元の透明窓の意味
入浴時の不快さ、「仕方ない」にしたくない
もう一つの商品は、入浴時の肌の露出を抑えるための、介助される人のための入浴着です。エプロンのような形で、座ったときは膝が隠れるあたりまでの長さがありますが、介助者が身体を洗いやすいよう、脇の部分は大きく開いています。 この商品の開発にも、牧野さんの経験が生かされています。 介護市場には、入浴介助を「する人」のための防水エプロンはありますが、入浴介助を受ける側のものはあまり見かけません。 牧野さんは大学に進学する前、障害者施設で生活をしていた時期がありました。1年ほど、施設の介助者の人員配置の関係でやむを得ず、週に数回、同世代の異性が担当者となり入浴介助を受けた期間があったといいます。 施設側から謝罪を受けましたが、施設の事情を考え、当時の牧野さんは「つらかったけれど、『嫌だ』と言えなかった」といいます。 自宅での介助を受けるときにも、家族や同性のヘルパーさんから裸を見られることは、気分のいいものではありません。 牧野さんは、「この商品は、作りとして特殊なものではありませんが、みんなが我慢していることを『仕方がない』で終わらせたくなかった」と話します。 「入浴は本来はリラックスできる時間のはず」と牧野さん。この商品を試してみたら、自分自身と介助者、いずれも精神的な負担が減ったと感じたそうです。 「これまで『ごめんね』とばかり言っていたのですが、『ありがとう』という気持ちが自然にわくようになり、私にとってはそれが一番うれしいことでした」 フットマークでは今後、いずれの商品も発売する予定だといいます。