チンギスハン侮辱漫画、在日モンゴル人「下品で低レベル、英雄汚した」
言論は社会、歴史、未来に対して責任がある
このように敬愛されているチンギスハンに侮辱的な落書きをしたことは、モンゴル人には到底許されない。当時、東京にいるモンゴルの人々が集まり、抗議活動を行ったが、彼らの行動は冷静的、かつ友好的な範囲だったように感じている。私は取材で内モンゴルにいたため、参加できなかったが、彼らは小学館へ抗議する際も、日本の法律を守り、抗議文の言葉遣いも日本国民の感情を尊重したものだった。 この問題に対しては、言論の自由を前提に問題がないとする人も多く、賛否両論あるのは知っている。しかし、私は少し違う見解を持っている。 今まで、小学館は小学生向けの雑誌を取り扱い、教育関係を重視する出版社だと思ってきた。私も日本語の勉強を始めた頃から小学館の日本語辞典をよく愛用していた。日本の教育に多大な貢献と信頼がある出版社が、このように無責任で下品な漫画を出版するとはとても理解し難い。日本の学校で、小学生が教科書にこのようないたずらな落書きをしたら、必ず先生に叱られるという低レベルの話と言うしかない。この漫画ではチンギスハンだけではなく、アインシュタインなど世界に知られる著名人が多数、不適切な描写の対象になっていた。 民主国家において、自由は全ての基本であることは間違いない。ただ、その自由は法律、道徳、モラルなどをも前提にすべきで、言論はその社会、歴史、未来に対して、責任があるものでなければいけない。今回の件は単なる日本国内の漫画の一描写ではなく、モンゴル民族の感情を激しく傷つけ、失望させた。その件に関して当事者だけでなく、社会全体が真剣に考え、反省するべきではないかと感じている。
---------- アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA) 1977年 内モンゴル生まれ 2001年 来日 2013年 日本写真芸術専門学校卒業 国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。 主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。