商品取引の「スーパーサイクル」終了か、ウォール街の収入が低迷
(ブルームバーグ): 世界的な大手銀行のコモディティー(商品)取引は、新型コロナ禍以降は見られなかった不調で今年を終えそうだ。ボラティリティーが利益を生み出す時代が終わりを迎えようとしている。
ウォール街のデータサービス大手コーリション・グリニッチの調査によれば、ゴールドマン・サックス・グループやシティグループ、JPモルガン・チェースを含む250社余りは、今年の純収入を合計で106億ドル(約1兆6100億円)と予想している。昨年実績を5分の1ほど下回る数字だ。新型コロナ禍による制約とロシアのウクライナ侵攻がサプライチェーンを分断し、商品市場は乱高下していたが、今では落ち着きを取り戻した。
トレーディングのブームは「衰退しつつある」とコーリション・グリニッチの世界マクロ市場責任者、アンガド・チャトワル氏は指摘する。同社は2025年にさらに3%の減収を予想している。「パンデミックになってから銀行のコモディティーデスクは収入のスーパーサイクルを経験してきたが、それが6-8四半期前から後退し始めた」と述べた。
ガンバ-・グループやグレンコア、トラフィグラ・グループなどの商品取引会社は、今年上半期決算でトレーディング利益の減少を明らかにした。それでも収入が50億ドルから80億ドル程度だった2012年から19年と比較すると、業界全体の水準は依然として高いことが、コーリションのデータは示している。
商社やヘッジファンドと同様に、銀行もボラティリティーの波に乗ろうとコモディティーデスクを強化してきた。
こうした動きが奏功した企業もある。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は今年のコモディティー取引で競合をしのぐ実績を残した。同行の商品トレーディング世界責任者ジョージ・カルトラロ氏によれば、7-9月(第3四半期)の商品取引部門は債券・通貨・商品全体と同程度の12%増収だった。アジア投資と米国や欧州、中東、アフリカでのヘッジファンド事業投資などを挙げ、「投資が良い結果を出した」とインタビューで述べた。