レギュラーコーヒーの異常な伸びに着目 「タリーズコーヒー」ボトル缶へ一層集中 ブラックから新商品 木村文乃さんCMに起用 伊藤園
伊藤園のコーヒー飲料は、レギュラーコーヒーユーザーの増加傾向を受け「TULLY’S COFFEE(タリーズコーヒー)」ブランドのボトル缶ブラックに一層集中していく。 同社の調べによると、家庭用レギュラーコーヒー市場の販売金額は3-5月の期間、コロナ禍による家庭内時間の増加を受けて前年同期比20%以上伸長。5月以降もこの傾向は続いているとみており、取材に応じた星野智信マーケティング本部コーヒー・炭酸ブランドマネジャーは「20%強の伸長率は異常値。在宅でレギュラーコーヒーの味を体験された方が通勤で缶コーヒーを飲まれる際、おいしさの基準がレギュラーコーヒーになってしまう」と語る。 コロナ禍でコーヒー飲料市場は、カテゴリー特性によるものではなく、外出自粛による買い場の影響を受けて苦戦。メインチャネルである自販機やコンビニ、駅売店に人が集まらなかったことが大きな痛手となった。 こうした中、旗艦アイテムのブラックコーヒー「TULLY’S COFFEE BARISTA’S BLACK(タリーズコーヒー バリスタズブラック)」390mlボトル缶は一部のコンビニで、競合の売れ筋ペットボトルコーヒーを上回る伸びで回復していく動きがみられたという。 これらの事象を受けて「レギュラーコーヒーユーザーはボトル缶コーヒーユーザーに近いという仮説を立てており、『タリーズコーヒー』では、味の劣化を防ぎおいしさをキープできるボトル缶に集中していく」考えを固めた。
この考えの下、「バリスタズブラック」ボトル缶に続く柱に育成すべく開発されたのが「TULLY’S COFFEE キリマンジャロBLACK」(285ml)と「同ブラジル100%CLEAR BITTER」(370ml)のボトル缶2品。どちらもホット・コールド兼用となっている。 10月5日に新発売される「キリマンジャロBLACK」は、果実のような酸味と甘みのある香りが特長のタンザニア産豆を51%使用したブラックコーヒー。「コーヒーの強さや飲み応えは主力の『バリスタズブラック』に任せて、『キリマンジャロ』は香りでスッキリ飲んでもらえるように設計した」。 ホット販売に注力していく考えからタンザニア産豆の割合はあえて51%に留めた。 「タンザニア産豆の特長は香りと酸味だが、酸味が強すぎると加温したときに劣化酸味と受け取られかねない。ブラジル産豆をブレンドしてホットで飲んでもらえるようにした」と述べる。 希望小売価格については「いつも飲まれている価格でキリマンジャロの香りを楽しんでいただきたい」との考えから税別130円とした。 「キリマンジャロBLACK」をブラックコーヒーの派生品として展開すべく、「バリスタズブラック」も285mlを新たにラインアップしてブラックコーヒーの柱として展開していく。 一方、10月12日に新発売される「同ブラジル100%CLEAR BITTER」は、ブラジル産豆を100%使用し、後を引かないクリアなビター感を打ち出した甘さ控えめの微糖コーヒーだが、こちらもブラックコーヒーユーザー向けに開発されたという。 「カフェショップではブラックコーヒーユーザーも少量であればシュガーを入れることもあることから、パッケージもあえてブラックに寄せてデザインした」と説明する。 秋冬はボトル缶3品に注力し、販売チャネルは主戦場のコンビニにスーパー・量販店への注力度合いを高めて全方位で攻めていく。