「リザーブ=予備タンクではない」「プリって何だ!?」意外と知らないキャブレター車の燃料コックポジション
燃料コックのポジション、「ON」「OFF」「RES」の意味と使い方
多くの現行モデルの燃料供給方式は、FI(フューエルインジェクション・電子制御燃料噴射)だ。 言うまでもなく、燃焼効率、環境性能の向上になくてはならない必然の機構として普及したから、キャブレターならではの味わいを回顧するのはおっさんのエゴなのかもしれない。 だが、当記事ではそれを承知でキャブレターと同時に消滅した「燃料コック」というアナログな機構を振り返ってみたい。 【関連写真10点】スズキ・カタナやビンテージBMW、ビンテージドゥカティのキャブを写真で紹介 この燃料コックは、燃料タンクからキャブレターに送り込まれるガソリンの「開閉門」だ。 ここにON(流入)、OFF(流入止め)、RES(リザーブ・燃料が残り少ないときの切り替え)の各位置を選べるレバーが付き、その都度切り替えて使用するものだ。 ベテランのライダーには「何を今さら……」の説明だが、使いこなすと便利だと思うのは、やはりおっさんのノスタルジーか。
「リザーブ」は予備タンクなどと言われることもあるが、実際にタンクが別にあるわけではない
通常の走行時はONに入れる。これで走行し続けて燃料が無くなるとエンジンが止まる。だが、まだ走れる。 RESに切り替えると再度ガソリンが送り込まれ、エンジンがかかる。タンクから燃料コックを外してみればわかるが、ON位置用の流入パイプが少し高い位置(油面)にあり、RES用の燃料通路は燃料タンクのほぼ底面についているのがわかる。 つまり、ガソリンを送り込む油面の高さ(ONで吸えなくなる位置)で燃料残量を警告し、リザーブになったら給油しなさいと教えてくれる仕組み。落下式燃料コックとも言い、非常にわかりやすい機構だ。 このRES=リザーブのことを「予備タンク」などと言う人もいるが、燃料タンク内に実際「予備タンク」として仕切りで区切られた別室がわるわけではない。
ただし注意すべきは、RES位置で使ったコックの給油後の戻し忘れだ。 ちゃんとON位置に戻さずにRES位置のまま使い続けると、次は完全なカラ状態でパニくることになるのだ。 さて、RES位置からの残り燃料はどれくらいあるか(=残りの走行可能距離)だが、これは排気量や車両の燃費性能によってまちまちだ。しかし大概の国産車は、最低でも50km程度走れるように設定されている印象だ。 例えば自分が所有したモデルでは、ナナハンクラス(タンク容量22L、平均燃費17~19km/L)の場合で、リザーブ容量は5L弱。軽二輪のオフロードバイク(タンク容量10L、平均燃費30~33km/L)でリザーブは約2Lだった。 最低50kmは走行可能を裏付ける設定だ。