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枕投げは消滅? 修学旅行のかたち、コロナで激変【#コロナとどう暮らす】

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京都新聞

枕投げから考えるお宿の事情とは

 京都新聞は2015年に、京都市内の小中学校計50校を対象に、枕投げの実態を調査したことがある。全校が「枕投げをする子を見ない」と答えた。あまり行儀のよい遊びではないだけに、「ある」と公然とは言いにくかった可能性もある。ただ、どうして「ない」のかを各校に尋ねるうち、納得する部分もあった。  学校側が口をそろえたのは修学旅行での宿泊形態の変化だった。旅館の大部屋ではなくホテルの個室に泊まるようになり、最近では民家に数人で泊まる「民泊」もあって、枕投げをしたくてもできない環境になっているそうだ。「枕から出るそば殻や、ほこりによるアレルギーが心配」「手加減を知らない子がいる」ことを理由に、枕投げを禁止している学校もあった。ただ、ある旅館で出会った中学生は、先生に見つからないように隠れてした小学生の頃の経験を明かしてくれた。旅館の従業員や教師の中にも、「皆無ではない」「見て見ぬふりをしている」と話す人がいた。

「枕ナンコ」 江戸時代の文献に

 修学旅行の夜に枕投げをするという遊びはいつごろ、なぜ始まったのか。実はよく分からない。 「枕投げに関しては写真にも残りにくく、研究対象としても聞いたことがない」。京都市学校歴史博物館の和崎光太郎学芸員(現・浜松学院大学短期大学部准教授)はそう話す。  日本修学旅行協会発行「修学旅行のすべて」によると、修学旅行は明治19(1886)年の東京師範学校の「長途遠足」に始まったとされる。だが、枕投げについては同協会も調べたことがないという。同書で唯一、枕投げに関する記述があるのは、1976~87年の修学旅行の「多様化期」として、「旅館も小部屋が多くなり(中略)枕投げをするという風景は中学生でもほとんど見られなくなった」という部分だけだった。枕投げの衰退は最近ではなく、30年以上前からだったことになる。  一方、学校の同窓会を紹介している京都新聞月曜夕刊の「旧交歓談」には、枕投げの思い出が数多く登場する。主に50~70年代の修学旅行の話で、最も古いのは醒泉国民学校(京都市下京区)の1943年卒業生の体験談だ。ひょっとすると戦前の本の中には、枕投げを描いた小説などがあるかもしれないが、そこまで調べきることはできなかった。  ちなみに、枕を使った遊び自体は古くからあったようだ。枕の歴史を解説した清水靖彦著「日本枕考」によると、江戸時代には枕をお手玉のようにして何個さばけるかを楽しんだ「枕ナンコ」や、握りこぶしの上に枕を載せ、もう一方の手で体を突き合って落としたら負けという「枕ずもう」などがあったという。

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