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起業家が新型コロナで経済死しない心構え

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ITmedia ビジネスオンライン

 12年間零細企業を経営してきて、分かったことがある。起業の成功は果たして何で決まるのかといえば、身も蓋もないが、一番大きい要素は「運」なのだ。 北城恪太郎氏(写真 Wikipedia (c) LinasD)  もちろんビジネスプランそのものが運以前にダメという場合もあるけれど、どんなに優れたプランでも、運がなければ成功しない。会社は簡単に潰れてしまう。  自分の専門で言えば、スーパーカーの不運はなかなかのものだった。1973年にオイルショックが来た時、イタリアを中心にスーパーカーのムーブメントが起きていた。時速300キロを標榜(ひょうぼう)する新しい時代のクルマが次々と華々しく登場した途端に、オイルショックという避けようのない不運でたたき落とされた。倒産したメーカーもあれば、以後細々と命脈を保ったメーカーもあった。  エジプトとシリアがイスラエルに奇襲攻撃を加え、第四次中東戦争が始まることなど誰も予想できなかったし、その後、イスラエルが反撃して勝利することが順当だったとしても、停戦後アラブがイスラエルと親イスラエル国家に石油の禁輸措置を取るとは、一部の専門家を除けば想像もしていなかった。  今回の新型コロナという厄災も、また運である。零細企業はそういう運にいつも弄(もてあそ)ばれるものだ。同じビジネスプランが昨年なら成功したかもしれないが、今年はダメだとか、ほんのわずかの要素が勝敗をわけることはよくある。

不運に負けない仕組みづくり

 「不運だから仕方ないよね」で済めばいいのだけれど、それで破産するとなれば人生の岐路である。運は怖い。その運と闘って勝つ方法は、ひとつだけある。諦めずに勝つまでやり続けのだ。そのためには痛手を一回で致死量にしない工夫が一番大事だ。  例えば、脱サラして、退職金を全部つぎ込んでラーメン屋を開業するなんてのは愚の骨頂で、そこにはワンストライクで死に至る仕組みしかない。だからどうしてもラーメン屋をやりたいなら、何度失敗を繰り返しても死なない仕組みを作るべきだ。  例えば、知り合いの喫茶店か居酒屋にでも頼み込んで、会社が休みの日にだけラーメンを売らせてもらう(喫茶店の厨房設備でラーメンが作れるかどうかは分からないが、そこはまあ例え話だ)。退職金を全て失うくらいなら、ラーメンの売り上げは全部その店にあげたって損はたかがしれている。  何より店を経営するということをつぶさに観察できるし、おそらくはいろいろ教えてもらえる。お客さんからフィードバックも取れるだろうし、何より自分のラーメンの実力のほどがわかる。それでファンがしっかり付いたら、晴れて会社を辞めて独立すればいい。厨房機器の安価な購入先や食材などの仕入れ業者だって紹介してもらえるだろう。もしかしたらバイトを雇うツテもできるかもしれない。  運という巨大な敵と戦うには、無限に打席を増やしていくしかない。しかも、その戦いは、店を開いてからも続くのだ。常に新しいことを模索していかなくてはならない。ラーメン屋としてスタートした店が、気づいたらかき氷屋になっているかもしれないし、カレー屋か焼きそば屋になっているかもしれない。ダメなことを続けても何も変わらない。違うことを何度でも試すのだ。それはトヨタがいうカイゼンみたいなものだ。  かく言う筆者も2005年に、広告出稿が激減していく自動車雑誌の世界に見切りをつけて、ネットのビジネスニュースに転出した。しかしそのプロジェクトが頓挫したので、企業向けのコンテンツ制作業として起業したのだが、やってもやっても上手くいかず、結局は頼まれ仕事が来るままにこなしているうちに、気づいたらかつて見限った業界に不本意ながら舞い戻っていたのだ。ビジネスニュースを書いたスキルと自動車雑誌のスキルがたまたま重なって、毎週記事を書いている。  何が言いたいかといえば、起業する時にどんなに考え抜こうが、そのままのプランで上手くいくことなんてまずないということだ。起業家の一番の仕事は、ダメなら変える、また変えるというカイゼンを永遠に続けていくことである。ラーメンがダメでカレーもダメだったとして、カレーラーメンが当たるかもしれない。  そのカイゼンを続けるためのキャッシュフローが何とかなって、心が折れなければいつかヒットがでる。ブラッシュアップといえば聞こえが良いが、実は中身がより良くなっているかどうかはそれほど関係ないのかもしれない。全く同じフォームの同じスイングで、たまたま来た球が良ければホームランになることもある。

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