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千曲川決壊1年の教訓・なぜ「完成堤防」は決壊したのか 「さらに強化」のはずが

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SBC信越放送

2019年10月、台風19号による大雨で長野市北部の千曲川の堤防が決壊した。「桜づつみ」として住民に親しまれていたこの堤防は、100年に一度の大雨に対応する「完成堤防」として整備が完了し、さらに、幅10メートル以上の土を盛り足して強化されていたものだ。 国は決壊の原因を溢れた川の水が堤防を削る「越水」と結論付けたが、住民たちは納得できないでいる。住宅を再建して地元に戻るのか、戻らないのか?二度と決壊しない堤防を帰還の条件に挙げる住民も多く、国の姿勢が問われている。

より強い堤防を・・・ 住民たちが見た「桜づつみ」の夢

有史以来、幾度も氾濫を繰り返してきた長野市長沼地区の千曲川。この地区の堤防は1984年、国の基準で100年に一度の大雨に対応できるとされる「完成堤防」として整備が完了していた。 しかし、住民たちの不安は尽きなかった。温暖化が進み、全国で豪雨災害が繰り返されるのを目の当たりにする中、想定外の大雨がいつ襲ってくるかはわからないからだ。かさ上げなど、さらなる堤防の強化を求め続けたが、管理する国の立場は一貫して「『完成堤防』をこれ以上強化することはできない」というものだった。 この地に生まれ、地区の治水対策のリーダー的な存在だったリンゴ農家の関茂男さん87歳。1998年、防災訓練に来賓として訪れた国の担当者から「『桜づつみモデル事業』という制度があり、堤防強化にもなる」と教えられた。 「桜づつみモデル事業」は、国土交通省が1988年に始めた事業で、花と緑豊かで安全な川づくりを推進するとうたうものだった。河川管理者が盛り土をして堤防の幅を広げ、市町村が用地の取得や植樹などを担当する。 関さんは「長沼地区の有史以来の悲願。千載一遇のチャンスと思った」と当時を振り返る。関さんは期成同盟の会長に就任し、幅10メートル以上の土を「完成堤防」に盛り足して、桜の木を植える事業に進んでいった。 盛り土の効果を疑問視する意見もある中、地区の中では「桜づつみ」が素晴らしい水害対策だという機運が醸成されていった。2015年には、地元の長沼小学校の6年生が防災教育の一環で、地区の水害の歴史を語り継ごうと劇を演じた。劇は「桜づつみが僕らの大事なふるさとを守ってくれてる」という「桜づつみ」の歌で結ばれる。翌2016年、着工から12年をかけて「桜づつみ」は完成した。

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