首都圏ハイカー御用達! 全国区な山名じゃない上野原の「要害山」でプチ低山登山を満喫
要害山とググると、ざっくりと全国で10近くの候補が表示されます。そんな全国的な要害山のなかでもメジャーなのは山梨県甲府市の「要害山」です。さすが武田信玄の威光強しですが、ここでピックアップしたいのは、同じ山梨県でも“じゃないほう”方の要害山で、同県東端・上野原市にある低山です。 【写真】(全13枚)
要害の地の例えにふさわしい見晴らしの良い低山
首都圏ハイカーの登山路線とも言える中央本線・上野原駅からバスで約20分ほど。要害山単座の登頂なら鏡渡橋バス停で下車し、小倉集落から山の神神社を経由して30分ほどで標高536mの山頂に立つことができます。 要害山の謂れは地形が険しく敵からの攻撃を防ぐのに有利な場所。つまり戦国期前後で活躍した武士たちの守り城や砦が置かれた山で、見晴しに優れた場所を意味しています。実際に上野原・要害山頂からの眺望も優れた見晴らしで、上野原市街はもちろん、丹沢山系に富士山の姿をとらえることができます。さすがに戦国時代は甲斐・相模・武蔵国境において最大級の山城だった大倉砦が置かれていただけの眺望です。 古の時代は勇ましき存在でしたが、そのたおやかに丸い山容から地元の方にはおっぱい山と呼ばれてもいるとか。周囲にはコヤシロ山、尾続山など標高500m~600m級のピークが尾根をつなげているので、要害山単座の登頂だけでなく、尾根ハイクの周回を楽しむハイカーが多いと思います。2時間半前後で踏破できるので、冬のトレーニングハイクとしてもこれからの季節にはおススメです。
小さなピークを渡り、風の神様と出会い、眺望の山頂へ
尾根歩きを楽しむなら鏡渡橋からの時計回りと尾続から反時計回りの2ルートがありますが、いずれのバス停も上野原駅への戻りのバス便は1日1便で、ハイシーズンでも2便。下山後の都合を考えるとバス便の多い新井バス停まで歩く距離が短い、尾続バス停からの反時計回りルートで鏡渡橋へ下る方をおススメしておきます。 尾続バス停から尾続神社脇を抜けて登ります。里山らしい登り出しは緩やか。ほどなくして尾根に乗ります。標高差約200mの登りを経て尾続山のピークです。 小さなアップダウンを踏んで開けたピークのコヤシロ山に飛び出ます。林に囲まれてはいますが多き南西側にひらけた展望は、中央高速・談合坂SAを見下ろすことができます。 ビュースポットとしては距離にして約200m先の風の神がおすすめです。標柱では風の神様と記されているだけに、稜線を抜ける爽やかな涼風を受けながら、切り立った峠からは大月方面に向けての山容を眺めることができます。 風の神から、本ルート上では最大のアップダウンを経て林を抜けると頭上が大きくひらけたピークに飛び出ます。要害山頂です。圧巻の眺望です。取材日はあいにくの空模様で、富士山の頂を捉えることはかないませんでしたが、上野原御前山など大月市内に展開する秀麗富嶽十二景に尾根をつなげる山々を堪能できます。 秋葉大権現の祠のある山頂にはベンチも設置されています。こやしろ側からのルート側に、お花畑風の植栽もあるので季節の折り合いがつけば、花見も楽しめるかもしれません。要害山で山頂ランチやおやつ時間等でくつろいでのち下山。 一気に駆け下り、山に神社を経て鏡渡橋バス停から県道33号を新井バス停まで。一部、ガードレールのない場所もあるので、行き交うクルマには気をつけて。
ソトラバ編集部